日本の大学院では、修士課程・博士課程・専門職過程の3種類の過程があります(これ以外にはありません)
それぞれの過程では、卒業までには以下のような年数がかかります。
日本の大学院を卒業するまでにかかる年数
- 修士課程 :2年間
- 博士課程 :3年間(修士修了者が対象なのでトータル5年)
- 専門職過程:2年間
博士課程は修士課程が終わった人を前提にしているコースですから、最終的に博士課程を修了するためには、「修士2年間+博士3年間=5年間」の年数が必要になることに注意してください。
日本の大学院では、どんなに優秀な人でも「いきなり博士課程から始める」ということはできず、必ず「修士課程を経てから、博士課程に進む」という形をとらないといけない仕組みになっているのです。
アメリカなどではよく「14歳で大学院を卒業」とか、「18歳で博士の学位を取得」といったようなことがニュースになりますが、日本の大学院ではそういうことはありえないというわけです。
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大学院は何歳で卒業できる?
大学院を卒業するときには、結局何歳になっているのか?についても確認しておきましょう。
大学に現役で合格し、その後4年間大学に通って、社会人になることなくそのまま研究者になるために大学院に進んだ人の場合、卒業時の年齢は次のようになります。
- 19歳:大学入学(1年生)
- 20歳:大学2年生
- 21歳:大学3年生
- 22歳:大学4年生
- 23歳:大学院1年目(修士1年生)
- 24歳:大学院2年目(修士2年生)
- 25歳:大学院3年目(博士1年生)
- 26歳:大学院4年目(博士2年生)
- 27歳:大学院5年目(博士3年生)
浪人や留年などをいっさいせずにストレートで進学した人の場合、上のように27歳でようやく大学院の博士課程を卒業することになりますね。
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大学院博士課程の「単位取得満期退学」って何?
文系専門書の著者紹介のページなどを見ると、「単位取得満期退学」という学歴になっている人が意外に多いことに気づかれると思います。
「この人中退なの?」と思ってしまいがちでとてもややこしいですが、これは実は日本の大学院特有の歴史というか、由来があるのです。
※なお、これは社会科学系・人文科学系の分野特有のルールですので、日本でも理系の大学院ではこういうことはありません。
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大学院を卒業しただけでは博士になれなかった
日本の社会科学系・人文科学系の大学院は、戦後すぐの時期は「学校を出ただけでは博士の学位はまだあげない」という暗黙の了解がありました(単純に学校を出ただけでもらえる博士学位のことを「過程博士」と呼びます)
実際、東京大学の人文科学研究科などでも、1990年になるまで「過程博士」の学位授与は毎年たったの0件~2件程度しかなく、よほど優秀な学生でないと「卒業と同時に博士になる」ということはありえないことだったのです。
それならどうやれば博士になれるのか?というと、学校を卒業した時点では「単位取得満期退学」という称号を与えられ、その後研究を何年もやって大学に論文を提出し、その内容が認められてようやく「博士」の学位が与えられるという仕組みになっていたのです。
- 大学院の博士課程を修了した時点:「単位取得満期退学」の学位
- その後、研究で業績が認められる:「博士」が与えられる
なお、このような形で与えられる博士が食いのことを、上で見た「過程博士」と比較して「論文博士」と呼びます。
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1991年以降は「単位取得満期退学」の慣行は廃止
このように日本独特のルールがあったわけですが、ただひたすらにややこしいだけですし、「大学に4年、大学院に5年間も通ったのに、結局もらえる学位が『単位取得満期退学』」なんてなんだかひどい話ですよね。
当然ながら海外の大学院にはこんな変てこなルールはありませんから、国際学会などに行くときも「単位取得満期退学」なんて学位はマイナス評価以外の何物も得られないという弊害もあったのです。
そのため、1991年に大学院教育のルールが変わってからは、大学院の過程を5年間終えた人は「過程博士」の学位が送られるようになっています。
ただし、日本の人文系の学問の世界では「過程博士」よりも「論文博士」の方が上、という風習があるのは今も変わらないのが現実です。
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大学院は何年通うと卒業するの?

(大学院は何年で卒業できる?)
修士課程は2年、博士課程は3年で修了です。
ちなみに大学は「卒業」といいますが、大学院は「修了」といいます。
最終的に修士課程は修士論文を書いて認められれば修了、博士課程は博士論文を書いて、認められれば修了です。
なお、博士課程の場合、博士号をとった後もポスドクとして大学に残る研究員もいます。
大学院の修士課程とは?
大学の学部を卒業したらまずは、修士課程に進みます(いきなり博士課程に進むことはありません)
ちなみに修士課程と博士課程を分けて考えず、修士課程=博士の前期課程と呼んでいる大学もあります。
修士課程は最短2年で修了できますが、途中で留学する人も多いため、3年4年と在籍する人もいます。
途中で休学を含めると、6年在籍できる大学院もありますが、院によって規定が異なります。
単位が取れなかったり、論文が認められなければ退学になる可能性もあります。
授業を受けて単位をとり、修士論文が教授会の審査に合格すれば、修士(マスター)の学位が得られます。
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大学院の博士課程とは?
修士論文が認められて修士課程を修了したら、就職する人と博士課程に進む人に分かれます。
修士と博士を分けない考え方の大学では、博士後期課程(ドクターコース)が始まることになります。
最短3年で修了できますが、より専門的な研究をするために留学する人も多くいます。
途中で休学を含めると、最長9年の在籍が可能ですが、院によって規定が異なります。
単位取得退学とは?
専門書の著者紹介の欄を見ると「~大学博士後期課程単位取得退学」となっているのを見かけることが多いと思います。
学校によって満期退学や単位取得退学など呼ばれることもありますね。
博士課程というのは研究者として生きていくための能力をみがくところという側面が強いですから、
すでに十分な実力がある人や、論文を書いて認めてもらっている人はあえて博士課程3年間を過ごして終了する意味があまりないのです。
そのような場合に、単位取得退学という形を選択する人も少なくありません。
論文が審査に通らなくて退学となる場合も…
なお、逆に在籍期間を満了しても論文が審査に通らない場合は、退学となることもあります。
大学や修士課程のように授業を受けるという受け身よりは、指定された論文を作成する積極性が必要です。
教授が指導してくれるというよりは、自分で実験や推論を立てて論文を作成しなくてはいけません。
学生ではなく、研究者の扱いですね。
教授会で論文が認められれば、博士の学位が得られます。
博士号を取得した後で、まだ研究を続けたい場合は、大学に残ってポスドクとして研究をします。
特に優秀な人材の場合は、教授から研究室の助教として働かないか?と声をかけてもらえる場合があります。
しかし研究室にも人数制限があるので、成績優秀かつ人員に空きが出た等条件がかなりキビシイです。
非常勤講師として採用してもらって、研究を続ける人もいます。
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医学部との違い
一般の学部が4年制なのに対して、医学部や歯学部、薬学部や獣医学部などの医療系学部は6年制です。
一般の学部が大学4年+修士2年学ぶところを、医学部は6年学ぶので修士課程はありません。
そのため学士課程が終わったら博士課程に進みます。
博士課程は4年です。
医師免許は大学卒業時に取得できるので、大学院に進む人は研究者や教育者を目指す人がほとんどです。
就職に有利になるの?
修士課程修了の場合、大学卒よりも専門的な勉強をしてきたと判断されるので、就職には有利ですね。
ただ、専門的な知識を持っている人よりも、とにかく会社に忠誠心の高い人をとりたい、という企業であればより年齢的に若い人(つまり学部を出てすぐの新卒の人)を優先して採用する可能性もあります。
しかし、それは裏を返せば「若ければだれでもよい」という形で採用を決めているということですから、そういう企業に将来性があるか?についてはよく考えなくてはなりません。
自分が修士課程や博士課程で学んだ内容を生かせる企業を見つけることが大切になります。
博士課程の就職活動
博士課程はより専門的な勉強をしたと受け取られます。
博士課程卒は年齢も30代近くになっていることが多いので、企業としても収入面や待遇面で扱いにくいと感じるところもあります。
博士の学位があれば大学の先生にもなりやすいので、研究者として研究を続けたい人は大学に残ることも選択肢に入れてみるとよいかもしれません。
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医学部の場合は
医師として患者を診るには、医学部6年在籍後国家試験に合格する必要があります。
国家試験に合格した後、2年は初期研修を行う必要があるので、病院などに就職します。
もし国家試験に合格できなければ患者を診ることができないので、合格するまで国家資格にチャレンジする必要があります。
どうしても合格できない場合は、一般企業に就職する人もいます。
まとめ
大学4年を出たら、修士課程2年、博士課程3年で修了が最短コースです。
医学部系は大学6年、博士課程3年で修了が最短コースです。
大学院というとまだまだ敷居が高いイメージですが、極めたい研究がある人はぜひ大学院にチャレンジしてもいいかもしれませんね。
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