MBOとはマネジメント・バイ・オブジェクティブの略で、直訳すると「目標によるマネジメント」となります。
※マネジメントバイアウトの略として使われるMBOもありますが、ここでは目標管理制度のMBOについてお話しするのでご注意ください。
MBO(目標管理制度)の最大の特徴は、「目標やその達成度をチームメンバーが自分で決めること」です。
チームの構成員それぞれが、自分の目標を自分で決めること(リーダーは支援にまわる)
会社や上司から与えられた目標をこなすのではなく、自分で決めた目標を自分で達成するよう努力し、上司やリーダーはそれをサポートするという形をとるのがポイントです。
この記事ではMBOを導入するメリットやデメリット・具体的な導入方法と注意点について解説しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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MBOとは?単なるノルマ制度との違いを解説!
冒頭でも触れましたが、MBOは「組織メンバーが目標を自分で設定すること」が特徴の目標管理制度です。
普通会社でよく使われるノルマ管理制度では、会社が出した目標を社員がクリアするという形をとります。
しかしMBOでは上司が目標を与えるのではなく、上司は社員が自分で目標を決めてそれを乗り越えることのサポートに徹するという点に違いがあるのです。
MBOと単なるノルマ管理の違い
- MBO:チーム構成員が自分で自分の目標を決め、リーダーはその支援に徹する
- 単なるノルマ管理:リーダーが目標を決め、構成員はそれに向かって努力する
問題は、どちらを導入するべきか?です。
次の項目では、ノルマ管理制度と比較した場合の、MBOのメリットやデメリットについてみていきましょう。
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MBO導入のメリット
MBOを導入することのメリットとしては、次のようなことがあげられます。
MBO導入のメリット
- メリット1:モチベーションが出る
- メリット2:社員の能力が伸びる
- メリット3:社員と密なコミュニケーションがとれる
順番に解説します。
メリット1:モチベーションが出る
上から与えられた仕事を黙々とこなすよりも、もっと自由で主体的に仕事ができた方が楽しく主体的に取り組むことが可能になります。
MBOでは主体性に重点を置き、目標は自分で決め、その達成を上司を中心としたメンバーがサポートします。
これにより「仕事は上から与えられたものをこなすもの」という見方が、「仕事は自分で取り組みそれをサポートし合うもの」という風に変わるのです。
上からのノルマが達成できないと怒られるのではなく、自分で決めた目標を達成できたら褒められる。
そういった仕事観を社内で共有することで、社員の仕事へのモチベーションがアップします。
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メリット2:社員の能力が伸びる
MBOは主体性と共に社員の自律心を伸ばします。
確かに、チームの構成員の中にはいろんなタイプの人がいるでしょう。
「こいつは上から目標を与えないとすぐ怠けようとするから」と決めつけて上からノルマを投げ与える方が簡単…というケースもあるかもしれません。
しかし、こうした管理方法では、問題のある社員はいつまでも自分の問題を乗り越えることができません。
MBOはまず社員の自律心を尊重しサポートするところから始まります。
つまり、「お前ならできる!」からスタートするのです。
もちろん、「自分にはそんな能力はないし、仕事は与えられた方が楽」と言う人も多いでしょう。
しかしそんな人ほど根は真面目なので、周りから丁寧なサポートを受けて目標を達成し自信をつけた頃には見違えるほど変化するはず。
社員ひとりひとりが自分の目標を設定して取り組むにはやはり社員にもそれなりの自律心が必要であることは理解しておく必要があります。
主体性を身に着けた社員は自分で考えて動けるようになりますし、視野も広くなります。
自身の成長の経験を活かし後続の社員教育も上手くやってくれるでしょう。
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メリット3:社員と密なコミュニケーションがとれる
MBO導入成功の鍵のひとつに「上司のサポート」があります。
例えば後でも説明しますが、社員が自分で目標を設定するときも社員と上司がじっくりと話し合います。
このとき、上司は「会社の目標」と「社員の目標」の方向性をうまく合わせるという仕事があります。
社員の目標が会社の目標と全然かけ離れていては意味がありませんよね。
ですが社員の目標が会社の目標を細かく分けたもののひとつに過ぎなくなってしまっていては、それはノルマ制度と同じになってしまいます。
目標が社員の今の能力や個性に合っていて会社の目標にも沿ったものになるよう上司は手伝わなくてはいけません。
その過程で質の良いコミュニケーションを繰り返すことで、上司は社員の能力や個性を細かく把握していきます。
そして最終的には個人の目標やその達成具合を見ていくことで、会社の目標そのものをもう一度見返して考え直すこともできるようになるのです。
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実際にMBOを導入し運用する流れ
ここからは、MBOを実際に導入し、運用していく際の流れについてみていきましょう。
「MBOのメリットはわかったけど、実際どうすればいいのよ?」
という方に向けて、導入のポイントをわかりやすくご説明いたします。
1.目標を設定してもらう
まずは社員に目標を設定してもらいます。
このときサポートする上司が気を付けるべきポイントは下記の通りです。
目標を設定する際にリーダーが注意すべきポイント
- A・個人の能力や個性に見合っているか
- B・会社の方針と大きくずれてしまっていないか
- C・目標は会社の目標を細かくしただけになっていないか
- D・目標の難易度は適切か
なお、目標は1つだけではなく、最低でも3つは設定してもらいましょう。
簡単な目標、普通な目標、難しい目標、といった感じです。
必ず具体的である必要はありませんが、全ての目標が抽象的すぎると達成具合も確かめづらいので、その辺のバランスも3つの目標でとりましょう。
具体的な目標もあり、抽象的な目標もあり、でオッケーです。
それから設定した目標は文書化もした方が意識的にも管理的にも良いです。
またしつこいようですが社員が自分で目標を決めることが重要です。
簡単な提案などはしても良いですが、極力手は出さないようにしましょう。
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2.支援する
繰り返しになりますが、MBOのカギは「主体性」と「リーダーによるていねいなサポート」です。
これが欠けるとMBOはむしろやらない方が良いほど台無しになってしまいますから、注意してください。
上司は定期的に社員の目標の達成具合を聞いてあげましょう。
どれくらいできたかだけでなく、どのようにできたか、なぜ滞っているかなど細かく話を聞いて丁寧に対応します。
目標の期末には最終的な目標の達成度を計り、それに応じて評価と給与への反映も行いましょう。
3.再評価する
MBOでは目標を具体的に設定しますから、それぞれのメンバーの達成具合が明確にわかります。
もちろん、中には達成できる人もいれば、達成できないこともあるでしょう。
これらを再評価し、その人それぞれの目標を再設定することが重要になるのです。
社員ひとりひとりの能力や個性を深く知り、それぞれの目標の設定や達成度を把握できることはそのまま強みとなります。
折角入手した情報は今後に反映していきましょう。
社員の得意不得意を把握しても「利益を〇〇万円上げる」といった会社の目標が直接変わることはないかもしれません。
ですが「どうやって利益を〇〇円上げるか?」といったそこまでのプロセスを考えるには大いに役立ちます。
誰だって自分の得意な仕事が出来て、それにサポートもつけばやる気も出て成果も上がりますよね。
社員ひとりひとりの小さな目標への取り組みとその結果をフィードバックして、会社全体の目標の再評価に活かしていきましょう。
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思わぬMBOの落とし穴!デメリットや注意すべきポイント
ここまで読んで「MBOって素晴らしい!どうしてみんなやらないんだろう?」と思っていただけたら嬉しいです。
ですが、どのようなスキームや方法論にもメリットとデメリットの両方があるものです。
ここからは、単純なノルマ管理制度と比較した場合の、MBOのデメリットについて見ていきましょう。
デメリット① 時間がかかる
MBOには社員と上司による丁寧で質の高いコミュニケーションが必須となります。
まず時間的に大変です。
仕事をする時間が無くなってしまいますから、そんな時間があったら仕事をしてくれとなる会社も多いのです。
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デメリット② きめ細かいコミュニケーションが必須
仕事に限った話でもなく、人と人とが上手にコミュニケーションをとるというのはそれだけで難しいもの。
上手にコミュニケーションがとれないとMBOは運用できません。
コミュニケーションがとれることが長所ではありますが、言い換えればコミュニケーションできなければ運用できないとも言えます。
サポートに回る上司への負担と依存度が大きすぎるのです。
デメリット③ 失敗するとダメージも大きい…
充分な時間やコミュニケーションの質がとれなかった場合のMBOはどうなると思いますか?
目標はおざなりでノルマとほとんど変わらず、上司はコミュニケーションをとっている振り。
せっかく自分たちは前衛的な新しい取り組みに挑戦したのに、何となく誰もやる気がない感じで前に進めない。
形だけで意味を失ってしまったMBO。
「自分たちは雑に扱われている」「この会社には余裕がない」「自分たち(この会社)はこの先も今回と同じように変われない」
そんな意識が生まれてしまいます。
折角仕事をもっとやりがいのあるものにして主体性と能力を伸ばせるはずだったのに、これではあんまりですよね。
MBOは失敗したときのリスクが大きいのです。
MBOの採用を考えるときは、こうしたリスクや負担もよく考慮しなくてはいけません。
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まとめ
今回はMBOの運用法と長所と短所について簡単にご説明しました。
MBO導入の長所と短所
- 社員の自律心と自主性が尊重される
- 社員が能力を伸ばし、自信をつける
- 上司への負担が大きい
- 失敗のリスクがある
以上の点を覚えておきましょう。
会社全体でのMBOの運用が難しかったとしても、応用が利くかもしれません。
例えばもしあなたが小さなチームのリーダーなどであれば、ローリスクで簡単なチーム内でのプチMBOも考えられるはずです。
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