安倍首相の「モリカケ問題」をきっかけに「悪魔の証明」という言葉が一気に注目されるようになりました。

悪魔の証明とは、ごく簡単にいうと「それをやっていないことの証明」を求めるということで、不可能なほど難しいこととされています。

この記事では、悪魔の証明の意味や由来について具体例を用いてくわしく解説するとともに、実際にあなたは悪魔の証明を求められてしまったときのための反論方法を解説します。

日常生活のトラブルや口論でも使えるテクニックがあると思いますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

Sponsored Links

悪魔の証明の意味とは?

悪魔の証明

冒頭でも簡単に解説しましたが、悪魔の証明とは「それをやっていないことの証明」のことをいいます。

むずかしい言葉で言うと「消極的事実の証明」とも言われますが、やっていないこと、身に覚えがないことを指摘された場合、それを証明するのはものすごく困難なことなのです。

例えば、電車の中で痴漢に間違われてしまったときに、「自分はやっていない」ということを証明するにはどうしたらよいか考えてみてください。

電車の中での相手との位置関係を正確に測定したり、当時の人の込み具合からいって相手の体を変わることが物理的に不可能なことを証明したり…と、ものすごく困難な説明をせざるを得ないことが想像できるかと思います。

(実際、痴漢冤罪の有罪率が99%を越えているのが現実で、ほとんどの場合で有罪を認めたうえで相手と示談し、告訴を取り下げてもらうという形で解決せざるをえません)

Sponsored Links

悪魔の証明の由来と語源

悪魔の証明

悪魔の証明は「ローマ法」という古代ローマ時代(今から2000年以上前です)の法律でも登場し、「自分には、自分の土地の所有権があること」を証明することがとても困難だったことに由来しているといわれています。

もし、自分の所有権を証明しようと思ったら、「自分の前の所有者はこの人で、その前はこの人で、その前は…」と、過去に所有していたすべての人間を見つけなければなりませんよね。

過去数百年単位で土地や建物を利用していた人たち全員をさかのぼって調べることは、現実的に考えて不可能であることから「悪魔の証明」と言われることになりました。

実質的に不可能な証明を当事者に求めるわけにはいきませんので、現在の法律では「その物を実際に手元に置いている人には、所有権があるものと推定する」というようなルールになっています。

Sponsored Links

悪魔の証明の語源

「悪魔の証明」という言葉の語源は諸説ありますが、宗教劇を由来とする説が有力です。

信者が悪魔に対して魂を売り、その魂を取り戻そうとした場合、悪魔に対して実物のない魂を返還するよう求めるのは不可能であり、所有していることの証明もできません。

真実を捻じ曲げて、虚偽の申告をする悪魔に対して取引を持ち掛けても、誠実な対応をしてもらえると考える方は少数派でしょう。

このような語源と由来から、現代の日本でも継続して悪魔の証明は使用され続けています。

Sponsored Links

悪魔の証明を具体例で解説!

悪魔の証明

ここからは、悪魔の証明の具体的な例について紹介しましょう。

安倍首相のいわゆる「森友学園問題」に関する発言が記憶に新しいかと多いと思いますので、こちらを例に解説します。

いわゆる「森友学園問題」をめぐる議論の流れを時系列でまとめると、以下のようになります(どの部分で「悪魔の証明」が求められているか探してみてください)

「森友学園問題」の議論の流れ

  • ①森友学園の責任者が、「安倍首相の妻から100万円の寄付を受けた」と証言しました(もし事実ならNG)
  • ②安倍首相はそれを否定しました
  • ③野党や新聞各紙は安倍首相に対して「説明責任を果たしていない」として批判し、「寄付をしていないことを証明しろ」と求めました
  • ④安倍首相は「寄付をしていないことを証明するのは悪魔の証明だ」と述べ、まずは自分の妻が「寄付をした」という事実を証明するように求めました

なんとなく安倍首相が逃げているように感じる人もいらっしゃるかもしれませんが、安倍首相の反論の仕方は実際の裁判の場での原則的なルールに基づいたものでもあります。

というのも、刑事裁判では「無罪の推定」が大原則となっているからです。

次の項目でくわしく見ていきましょう。

Sponsored Links

「無罪の推定」=「疑われた人も、証明されるまでは無罪として扱わないとダメ」というルール

起訴された人は原則として無罪であり、有罪にするためには「その人が犯罪を犯した(これを積極的事実といいます)」という事実を、警察や検察の側がまず証明しないといけないというルールになっています。

「犯罪を犯していない」という消極的事実の証明(これが悪魔の証明)よりも、「犯罪を犯した」という積極的事実の証明が先に求められているというわけですね。

積極的事実の証明であれば、例えば「犯罪に使われた凶器に容疑者の指紋がついていた」ということを証明するのは現実的なことです。

実際の裁判では、「やったことを証明」→「やっていないという反論」→「さらにやったことを証明」→「やっていないという反論」…という形で進行していきます。

最初から「やっていないという反論」を求めてしまうと、それは悪魔の証明を求めていることになり、ルール違反ということになるわけですね。

Sponsored Links

再び痴漢冤罪の例

悪魔の証明

この記事の最初の方で見た「痴漢冤罪の例」でもこの原則が適用されるのが本来の形なのですが、日本の司法では痴漢冤罪については様々な理由から「悪魔の証明」が求められてしまっているのが現実です。

もしあなたがいきなり犯罪の容疑者にされて、「無罪だというなら、犯罪を犯していないという事実を、お前自身が証明しろ」といわれたらどうでしょうか?

悪魔の証明をみずから行うのは非常に困難ですから、もし国家権力が「この人間は危険だから、痴漢をしたことにして社会的に抹殺してしまおう」と思ったとしたら…。

悪魔の証明を求めることがいかに間違っているかということがお分かりいただけるかと思います。

Sponsored Links

白いカラスは存在する?

もう一つ、悪魔の証明の例として「白いカラスの証明」について紹介しましょう。

もし「白いカラスは存在するか?」と言われた場合、アルビノ(先天的に色素がなく、真っ白な状態で生まれてくる病気)のカラスを一羽捕まえれば証明できます。

これは「それがあるということの証明」なので、積極的事実の証明であり、問題ありません。

これに対して、「白いカラスは存在しない」という消極的事実を証明する場合、全世界にいるカラスをすべて捕まえて、識別鑑定を実施して白ではないと証明しなくてはなりません。

こちらも現実的に考えて不可能だと言えますので、悪魔の証明となるわけですね。

Sponsored Links

悪魔の証明への反論方法=背理法とは?

悪魔の証明

このように、日常生活でも「やっていないことの証明」を求められるケースは少なくないといえます。

例えば、職場で誰がやったかわからないミスがみつかったとして、「お前がやったんだろう。違うなら違うことを証明しろ」といわれたら、これは悪魔の証明ですね。

その対処法を備えておかないと、予想外にトラブルが大きくなる可能性もありますので注意しましょう。

悪魔の証明への反論方法としては、「背理法」と呼ばれる、数学で主に利用される証明方法があります。

以下、背理法の意味や使い方についてくわしく解説しましょう。

Sponsored Links

背理法の使い方は?

背理法とは、ごく簡単に説明すると「もしその事実があったとしたら、おかしなことになる。だからその事実はなかったはずだ」という形で証明を行うものです。

むずかしい言葉で説明すると、「存在することを証明すると矛盾が生じる事象の場合、存在しないことの証明となる」という考え方のことをいいます。

再び「白いカラス」問題

例えば、上で見た「白いカラスが存在しないことを証明せよ(これは悪魔の証明です)」という問題について、背理法で反論してみましょう。

背理法では、「もしその事実があったとしたら、おかしなことになる。だからその事実はなかったはずだ」という形で反論するのでしたね。

これを当てはめると、例えば「もし白いカラスがこの世に存在するなら、その白いカラスには別の学名がつけられているはずだ。だから、白いカラスは存在しない」というように反論することになるかと思います(ちょっと苦しい感じですが)

Sponsored Links

卵とオムレツの問題

悪魔の証明

もう少しわかりやすい例で背理法を紹介しましょう。

例えば、「冷蔵庫には卵が入っていたのにない。あなたが食べたんだろう。食べてないなら、食べてないことを証明しろ」といわれたとしましょう。

「やっていないことを証明しろ」といわれているわけですので、これは悪魔の証明を求められている状況ですね。

この場合、新たな事実として例えば「相手は朝ごはんにオムレツを食べた」という事実を探し当てることができたとしましょう。

この新事実があれば、「今日の朝にあなたはオムレツを食べただろう。オムレツは卵がないと作れない。だから、冷蔵庫の卵は私が食べたのではなく、あなたが食べたんだ」という証明がなりたちます。

この例では、「もし私が卵を食べたとしたら、オムレツは作れたはずがない。だから、私は卵を食べていない」という形の背理法による証明の形となっていることがおわかりいただけるでしょうか。

悪魔の証明と背理法は似て非なるものですので使いどころが難しくなりますが、もし悪魔の証明で逃れようとする悪人と出会った場合には、背理法の考え方を思い出してください。

Sponsored Links

悪魔の証明を上司から求められたら何と返す?

日常生活において、理不尽な上司から悪魔の証明を求められることもあるのではないでしょうか?

例えば、次のようなやりとりをイメージしてみてください。

悪魔の証明に上手に対応する例

  • 上司 :「○○の資料を探しておいて」
  • あなた:「探してみましたがありませんでした」
  • 上司 :「本当になかったのか?」(なかったことの証明=悪魔の証明)
  • あなた:「見つかりませんでした。ただ、私が見落としている可能性もありますので、もう少しお時間を頂けたら正確にお答えできるかもしれません。お時間がかかっても大丈夫ですか?」
  • 上司 :(時間がかかるならもういいか…。くそ、こいつのせいにはできなかった)

Sponsored Links

自分より立場が上の人(上司など)から悪魔の証明を求められた時に、「それって悪魔の証明ですよ」と伝えても、悪い印象を持たれてしまう可能性がありますし、後々別の方が探してみたら資料が見つかった際には目も当てられないでしょう。

なので、もし上司から悪魔の証明を求められたら、はっきりとYES or NOだけで答えないことが大切です。

上記の例でしたら、「見つかりませんでした。ただ、私が見落としている可能性もありますので、もう少しお時間を頂けたら正確にお答えできるかもしれません。お時間がかかっても大丈夫ですか?」と返答してる部分が該当します。

重要な資料でしたら継続して探すよう指示されるでしょうし、そうでもないのなら上司もあきらめるでしょう。

人間関係において、口上の工夫は大切ですので、もし悪魔の証明を求められた際には活用してみてください。

Sponsored Links

まとめ

悪魔の証明

悪魔の証明についてご紹介しましたが、やっていないことの証明が困難であるという意味を理解しておくことがもっとも重要です。

あらぬトラブルに巻き込まれた際にも活用できますし、裁判沙汰に発展するような大事ならなおさらでしょう。

本文で紹介した対処法を参考に、トラブルを未然に防ぐ方法を知っておきましょう。

Sponsored Links