↓宇多田ヒカルさんのツイートで話題になったこの論法ですが、「藁人形論法(ストローマン論法)」という名前がついています(もともとある議論の手法というかテクニックです)
ストローマン、または藁人形論法という言葉を初めて知ってスッキリした!
— 宇多田ヒカル (@utadahikaru) 2018年7月17日
この記事では、藁人形論法のくわしい意味や具体例、対策などについてくわしく解説しますので参考にしてみてくださいね。
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藁人形論法(ストローマン論法)とは?
まずは藁人形論法とは何か?というところから。
ごく簡単にいうと、藁人形論法とは、相手の言っていることをゆがめて受取り、そのゆがめた内容に対して「これはおかしい」と反論する方法のことをいいます。
藁人形論法の具体例
例えば、Aさんが「景気が悪いときには、政府が多少借金をしてでもどんどん公共投資をすべきだ」と主張していたとします。
それを聞いたBさんが、Aさんの主張の中の「景気が悪いときには」という前提部分を意図的になかったことにして、「Aさんが『政府は(常に)借金をしてでもどんどん公共投資をすべきだ』と主張している!」と批判するような言い方が藁人形論法といえるでしょう。
藁人形(わらにんぎょう)と呼ぶ由来ははっきりしませんが、相手の意見をゆがめて受け取ることを、相手の藁人形としてたとえ、その藁人形をやっつけるというイメージでつけられた名前だと思われます。
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宇多田ヒカルさんの説明をもう少しわかりやすく説明
上の宇多田ヒカルさんが書いている話は正直ちょっと難しくてわかりにくいですが、もう少しわかりやすく説明を試みると以下のようになります。
※↓再掲
ストローマン、または藁人形論法という言葉を初めて知ってスッキリした!
— 宇多田ヒカル (@utadahikaru) 2018年7月17日
↓わかりやすくなってるかな?
- ①誰かがテレビなどでした話の一部を抜き出して、本来その人が伝えたかったニュアンスを無視して別のメディア(例えばTwitter)で拡散したとします。
- ②その「抜き出された一部の内容」だけがTwitter上でどんどん広がります。
- ③Twitter上でその内容をいろんな人が見ます(その人たちは元のテレビでの発言の様子などは見ていない)
- ④Twitterで拡散されている内容だけを見た人が、元のテレビでの発言のニュアンスなどはいっさい無視して、Twitterの中でのみ批判している状態
このような藁人形論法は意識的に行われることもあれば、無意識に行われる場合もあります。
意識的に行われる場合には、その対策を考えておく必要があるでしょう(次で説明)
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藁人形論法への対策
藁人形論法への対策は、相手の主張を冷静に聞くことからはじまります。
藁人形論法を使う人の多くは、こちらの主張を「自分の反論しやすいように歪めて」いるので、「自分の主張」と「相手の反論の根拠」のどこにズレがあるかを見つけ出す必要があるのです。
①まずは論点を正すこと
まずは相手の反論に則って論旨を正します。
下で見る例の「ピカソの絵が好きだ」という主張に対する藁人形論法の反論参照↓
わたしがピカソ本人を好きかどうかは、その作品が好きかどうかに加味されない。
よってピカソに何人愛人がいたかはここでは関係がない。
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②相手の意図を確認する
次に相手の反論の意図を明確にします。
あなたは作者の素行によって、その作品を好きかどうかが決まると主張するのか?
また、落書きと区別がつくかつかないかでその作品を好きかどうかが決まるのか?
落書きと区別がつけば絵が理解できる「芸術のわかる人間」といえるのか?
③自分の主張と相手の反論の差異を指摘する
最後に自分の主張と相手の反論の違いを指摘します。
わたしはピカソがどんな人物でも、その作品が落書きと区別がつかないとしても、ピカソの絵が好きだ。
あなたの反論する「作品の好きかどうかの基準」とわたしの基準は違う。
わたしの「好きかどうか」の基準には「落書きと区別がつくか」は含まれていないので、わたしが「芸術のわかる人間」かどうかは分からない。
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藁人形論法の仕組みと詭弁である理由
藁人形論法(ストローマン論法)は意図的に行っていれば、まさに詭弁であるといえるでしょう。
相手の主張を意図的に歪め、それをあたかも相手が主張したかのように示した上で、その正誤に対して反論する手法を詭弁といいます。
藁人形論法(ストローマン論法)は相手の主張をいったんは受け入れ(たフリをして)、その主張を拡大解釈や都合の良い条件を付けくわえた上で反論するというものだからです。
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藁人形論法の具体例
藁人形論法の具体例について、もう少し例を挙げてみます(やや難しいのでくわしく知りたい人向け)
具体例1「ピカソの絵が好きだ」
①藁人形論法による主張
ピカソなんて何人も愛人をつくるような人間のどこがいいのか?
実際の作品だって単なる落書きと区別がつかないじゃないか。
あなたは自分がピカソの絵を理解できる「芸術のわかる人間だ」と主張したいだけだ。
②藁人形論法への反論
そもそも作品の好き嫌いに作者の品行を加味するかは人それぞれで、ピカソの絵が好きな人に対して「ピカソという人間が好きなのはおかしい」という反論は的を射ていない。
さらに「落書きと区別がつかない」という前提を持ち出した上で、「絵が好き」という主張を「絵を理解できる」という主張に置き換えて非難している。
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具体例2「原発は重大事故を起こすので危険だ」
①藁人形論法による主張
火力発電所や自動車は事故を起こさないとでも思っているのか。
あなたは原発だけをことさら危険だというが、自動車事故が起きる確率よりもずっと少ないではないか。
日本にエネルギー資源を考えれば原発が必要なのは明白なのに、あなたは日本の3割の家庭が停電してもかまわないというのは暴論にすぎない。
②藁人形論法への反論
原発以外の発電所や自動車の危険性を認識していないような指摘からはじまっているが、そんな主張はどこにもない。
さらに危険性と確率と引き合いにしているが、危険度と事故率は関連性はあっても別問題である。
原発が停止することで3割が停電するのも是認するのか?と主張しているが、そのような主張はされていないし、事故を起こす可能性のある原発が危険かどうかと、停止することで停電する(かは不明だが)ことは論旨が異なっている。
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まとめ
藁人形論法は意図的かどうかはともかく、相手の主張をきちんと聞かない人に多く見られます。
対策は自分の主張と相手の反論(の根拠)がズレていることを指摘するところから始まります。
相手がこちらの話を聞かないときほど、相手の話をよく聞くように心がけましょう。
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