税理士事務所のパートを辞めたい理由は?
税理士事務所でパート(アルバイト)の事務職として働いている方の中には、「辞めたい…」と感じてしまっている方も少なくないかもしれません。
税理士事務所というのは従業員数人~20人程度の小規模な企業であることが多いですから、特に繁忙期の仕事量の多さに悩むことも多いでしょう。
また、所長税理士や正社員の担当者が命令口調で指示を出してくるのに苦痛を感じている…という方もひょっとしたらおられるかもしれませんね。
今回は税理士事務所でパート(アルバイト)として働いている人に多い退職理由や、次の転職先として有力な選択肢について解説させていただきます。
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税理士事務所のパートを辞めたい!よくある退職理由はどんなもの?
税理士事務所でパートとして働いている人に多い退職理由(辞めたいと考えるに至った理由)としては、以下のようなものがあります。
- ①所長や後継者の人格がおかしい
- ②小規模事務所なので、事務作業を一人でやっていて責任が大きすぎる
- ③税理士試験の勉強に専念したい
- ④確定申告、決算に圧倒される
- ⑤担当者の命令口調が苦痛
- ⑥月次監査が苦痛
私自身、税理士事務所でパートタイマーとして働いていた時期があるのですが、こういった悩みに耐えられずに退職していく人はたくさん見てきました。
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①所長や後継者候補の人格がおかしい
税理士事務所内での人間関係、特に所長税理士や後継者候補の税理士との関係に悩んでいる人は多いです。
税理士の中には、かなり特殊な性格の人も少なくありません。
超難関の国家試験を突破したという自信がそうさせるケースもありますし、小さいころから親の後を継ぐことが決まっており、将来は安泰…という気持ちで仕事をしてきたことからそうなってしまっている人も多いようです。
また、税理士試験というのは大学院卒業で授業免除がされるなど、お金がたくさんあって「特権階級」のような感じで試験に合格してきている税理士も少なくありません。
私自身、税理士事務所の仕事では従業員に対してパワハラ的な指導の仕方をしたり、安い賃金でこき使うことしか考えていないような所長税理士をたくさん見てきました。
そういう特殊な人たちと閉鎖的な空間で一日中仕事をしていることで、心身ともに不調をきたしてしまうパートの方は少なくないのです。
②小規模事務所なので、事務作業を一人でやっていて責任が大きすぎる
税理士事務所は常にぎりぎりの人員数で仕事をまわしているところがほとんどですから、事務作業(会計ソフトへの入力作業含む)はパートにすべて回していることも少なくありません。
税理士事務所の仕事はお客さんの経理作業を代行することですから、計算の正確さは絶対です。
1円単位の小さなミスであっても許されない環境ですから、一人に集中する業務量もあってストレスを抱えている人も多いでしょう。
こうした業務負担量の多さを訴えても、「嫌なら辞めてくれていい」といったように非人間的な対応をする所長税理士を多く見てきました。
大手企業なら外聞もあって簡単に退職者を出すことはしませんが、従業員10人~20人程度の小さな企業がリストラをたくさんしようが、ニュースになるようなことは普通はありません。
それをいいことにブラック企業的な体質を改善する気もない税理士事務所は少なくないのです。
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③税理士試験の勉強に専念したい
税理士事務所でパートとして働いている人の中には、自分自身も税理士試験の勉強をしているということもあるでしょう。
従業員が試験勉強をすることに協力的であることをアピールして人材確保をしている税理士事務所も少なくありませんから、そこに魅力を感じて税理士事務所にパートとして働き始めたというケースは多いです。
ただ、税理士事務所の仕事は基本的に激務です。
一般企業と比較すれば勉強はまだしやすい(まわりに試験勉強をしている同僚が多いですし)かもしれませんが、それでも試験勉強と仕事の両立はなかなか難しいというの実際のところです。
特に、科目合格が2科目ぐらいまで来て、税法科目になかなか合格できず、試験船念のために仕事を退職する…というケースはとても多いですね。
④確定申告、決算の業務に圧倒される
税理士事務所の仕事は、繁忙期と通常の時期とで業務量にかなりの差があります。
特に2月~3月上旬の確定申告時期というのは毎日深夜まで残業していることも多いでしょう。
また、4月~5月の三月決算法人の決算業務を行う時期の業務量も圧倒的なものがありますよね。
特に、パートの場合は正社員の担当者のサポート業務である分、担当者がスケジュールを意識して仕事を進めてくれないような場合には業務のしわ寄せがきてしまうということも少なくありません。
自分ならもっとうまくやるのに…という悔しい思いをしている方もおられるかもしれませんね。
こういった自分で業務スケジュールを調整できない、という点に不満を感じて辞めていくパートの方は私もたくさん見かけました。
⑤担当者の命令口調が耐えられない
上でも少し触れましたが、税理士事務所のパート業務は基本的に正社員である担当者(監査担当者と呼ぶ事務所も多いです)のサポートに回る仕事です。
そのため、自分自身では仕事の進め具合をコントロールするのが難しいことが多く、その点にストレスを感じている方も多いかもしれませんね。
また、昔ながらの税理士事務所では「正社員の担当者の方が立場が上、パートは下」という立場を露骨に出していることも少なくありません。
中にはパワハラ的な命令口調でパートに指示を出す人もいて、精神的に苦痛を感じて退職していくケースも多いです。
⑥月次監査が苦痛
税理士事務所では、月次監査の仕事は基本的に正社員である担当者が行うことが多いでしょう。
ただ、一部の税理士事務所ではパートが月次監査の手伝いをするケースもあります。
月次監査をやっていく上では得意先の経理担当者や、場合によっては経営者とのやり取りが必要になることもありますよね。
「せっかく内勤の仕事がしたくて税理士事務所のパートを選んだのに、外部とのやりとりが増えてきてストレス…」という理由で辞めたいという気持ちになる人も多いです。
入社当初に説明されていた仕事内容との違いが出てくるのは約束違反と感じてしまいますよね。
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税理士事務所のパートを辞めたい人の転職先
税理士事務所のパートを辞めたいと考えている方が、次の転職先として選ぶことのできる選択肢としては、以下のようなものがあります。
- ①別の税理士事務所で税理士補助
- ②事務処理作業系の一般事務
- ③企業経理の仕事
せっかく今の職場を辞めて転職するのであれば、次の職場ではこれまでの経験値を生かせるような仕事を選びたいですよね。
以下では、それぞれの転職先を選ぶ際のポイントについて解説します。
①税理士補助として働く
もっとも有力な転職先(採用されやすい転職先)としては、別の税理士事務所で税理士補助として働くことが挙げられます。
ただし、この場合は正社員として働くことが前提になりますから、パートから本格的にフルタイムの仕事にステップアップすることを検討している方に限られます。
税理士事務所の正社員(税理士補助)の仕事では、過去にパートであっても実務を経験していることは強いアピールポイントになります。
事務所側としてはまったくの未経験者を採用するよりも、事務所での仕事内容をよく把握している人の方が即戦力になってくれると考えるためですね。
また、パートからのステップアップということでキャリアアップしていくことに意欲的な人、という評価を受ける可能性が高いので、面接も話をしやすいと思います。
②事務処理作業系の一般事務の仕事
税理士事務所でのパートの経験がある方は、間違いが許されないシビアな事務作業での経験が多くあります。
税理士事務所というのは会計の専門家ですから、1円単位であっても顧客に提出する書類に狂いがあると、信頼感を大幅に下げてしまうからです。
直接顧客とやりとりをする機会は少なかったとしても、社内での厳しいチェックを受ける環境で仕事をしてきたことは事務処理作業系の一般事務の仕事をしていくうえで貴重な経験といえます。
実際、私は税理士事務所のパートの仕事を経験した後に、一般事務の仕事をすると「こんなに簡単なことでいいの?」とかなりハードルが低いように感じていました。
税理士事務所の厳しいチェック体制の中で仕事をしてきた経験は、別の一般事務の仕事をしていくうえで大きな武器になってくれるでしょう。
③企業経理の仕事
税理士事務所でのパートから、一般企業の経理スタッフの仕事に移っていく人はとても多いですね。
税理士事務所の仕事というのは顧客の企業からいわば「丸投げ」の状態で経理についての仕事を担当します。
そのため、一般企業経理については全体像をしっかりと把握できている人が多いことでしょう。
日常的な会計ソフトへの入力作業から毎月の試算表データの作成、最終的に決算書と納税。
こういった一連の経理の流れをきちんと理解できている人は、一般企業経理スタッフとして活躍できる可能性が高いです(少なくとも、まったくの未経験の人と比較したら、企業側がどちらを採用するかは明らかですよね)
企業経理の仕事も、正社員として働く場合とパートや派遣として働く場合とで求人応募の窓口が異なりますから、注意してくださいね。
企業経理に転職するなら簿記三級は必須
税理事務所のパートから、一般企業の経理スタッフに転職する場合には、最低でも簿記3級は持っておきたいところですね。
経理の仕事では書類審査の時点で「簿記3級を持っているかどうか」で足切りが行われる可能性が高いからです。
税理士事務所での仕事の経験がある方であれば、簿記3級ぐらいであれば3か月程度の勉強でもじゅうぶん合格できると思います(もちろん、きちんと勉強して準備しないとだめですが)
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転職活動で知っておくべき重要ポイント
税理士事務所のパートを辞めて、これから転職活動を始めるという方は、以下のようなポイントについて押さえておくことが重要です。
- ①面接でアピールするべき実務経験
- ②求人が多い時期と少ない時期
- ③転職エージェント(無料)の活用
うまくこれまでの税理士事務所での経験をアピールすることができれば、現在より有利な条件(お給料や福利厚生の面)で転職することも可能になります。
具体的な転職活動を始める前にチェックしておいてくださいね。
①面接でアピールするべき実務経験
税理士事務所でのパートの経験がある方は、企業経理の一連の流れをよく理解できているという強みがあります。
また、企業経理の採用面接では「決算業務の経験はどのぐらいありますか?」という質問もよくされますね。
この点、通常の経理スタッフの経験がある人よりも、税理士事務所の経験者のほうが圧倒的に有利といえるでしょう。
一般企業の経理スタッフの経験者の場合は年に1回(大企業であれば2回~4回)の決算しか経験できませんが、税理士事務所経験者であれば、それこそ年がら年中決算業務にかかわってきたことでしょう。
また、税理士事務所では得意先の経営者とのやり取りをたくさん経験してきた方も多いでしょう。
どんな企業に転職するにしても、大なり小なり企業を経営している人たちと直にかかわって仕事をしてきたというのは評価が高いです。
- 企業経理の一連の流れを理解できていること
- 決算業務について圧倒的に多くの経験があること
- 企業経営者と直接的にかかわって仕事をしてきた経験
転職面接では、こういったポイントについて自己アピールをするようにすれば、採用につながる可能性はぐっと高くなりますよ。
②年間で求人が多い時期、少ない時期
転職活動は、いつの時期に動き始めるか?も重要です。
一般的には四月や九月、一月といった区切りの良い時期に向けての入社を目指す人が多いです。
転職活動には3か月程度の期間を設定するのが普通ですから、上の月のだいたい3か月前ぐらいから転職活動を始めるイメージを持っておくとよいでしょう。
- 四月入社を目指す:1月~3月ごろから動き始める
- 九月入社を目指す:6月~8月ごろから動き始める
- 一月入社を目指す:10月~12月ごろから動き始める
もちろん、早めに動き出せばそれだけ採用につながる可能性は高まりますし、応募できる企業の幅も広がりますよ。
また、転職活動は退職後に行うよりも、企業在籍中に行うほうが採用につながりやすいことも知っておきましょう(人事採用担当者は、無職の状態の人よりも、現在職についている人を高く評価する傾向があります)
業界的に求人が増える時期にも注意
なお、業界的な事情によって求人が増える時期に差があることもあります。
例えば、税理士事務所への転職であれば8月の税理士試験終了後や、繁忙期に向けて事務所が求人を増やす12月ごろはねらい目ということになります。
- 8月:税理士試験終了後に転職活動を始める人が増える
- 12月:繁忙期に向けて事務所側が求人を増やす
③転職エージェントを活用しよう
税理士事務所のパートでの経験を生かして転職活動を行うのであれば、転職エージェントを活用することも検討しましょう。
転職エージェントというのは、転職サイトに無料登録することで利用できるようになる、転職求人条件の案内サービスのことですね。
- 完全無料で使える
- 自分の希望にマッチする求人をピックアップして紹介してもらえる
- 紹介された求人は断るのも自由(メールでのやりとり)
- 給料などの条件について、転職エージェントが交渉してくれる
- 面接の日程調整をやってくれる
- 面接に同行してくれるケースも多い
- ハローワークには登録されていないねらい目の求人情報を参照できる
年収や仕事内容などについて登録しておけば、転職エージェントが自動的にあなたの希望にマッチする求人情報を探してきて紹介してくれますよ(もちろん、断っても問題ありません。メールでやりとりするだけですのでストレスもありませんよ)
転職エージェントは採用担当者との日程調整をして面接に同行してくれたり、企業側にあなたの希望の給料の金額などを交渉もしてくれます。
転職活動のスケジュール組みや人事担当者とのやり取りが苦手、面接で自分の希望をちゃんと伝えるのは抵抗がある…という方は、転職エージェントを活用することをおすすめします。
なお、転職エージェントに対してお金を払っているのは採用活動を行う企業側ですから、私たち転職希望者は完全無料で使うことができますよ。
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税理士事務所を辞めたい!退職タイミングや辞めた後の選択肢
税理士事務所を辞めたいと思っていても、辞めるタイミングがつかめなかったり、辞めた後にどんな仕事をしたらよいかわからずに悩んでいませんか?
所長との関係が悪化しすぎて今すぐにでも辞めたい!という方もひょっとしたらおられるかもしれませんが、時期を選べる状況ならできるだけ次の仕事に転職しやすい時期を選ぶほうがよいですよね。
税理士事務所を辞めた後の転職先としては、この仕事を経験したからこそ選べる選択肢もあります。
今回は税理士事務所を辞めることを検討している方向けに、辞めるタイミングや辞めた後の選択肢について説明させていただきます。
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辞めるときの手続き方法や辞めるタイミング
まずは、辞めるときの手続き方法や辞めるタイミングについて説明します。
退職の切り出し方や望ましい時期などを確認していきましょう。
辞めるときの手続き方法
辞めることを決意してもいきなり退職願を出すのではなく、まずは退職したい旨を直属の上司(いなければ所長)に相談しましょう。
例えば、自分が所属するグループのリーダーとなっているような人がいる場合であれば、いきなり所長に退職の話をしにいくのではなく、そのリーダーの人に相談するのがマナーです。
もし上司を介さずにいきなり退職願を出してしまうと、上司との関係が悪くなって引継ぎがスムーズに進まなくなるかもしれませんので注意しておきましょう。
円満退職を目指すなら…
円満退社を目指すなら、まずは相談という形で退職を切り出し、その後は指示に従って手続きするのがおすすめです。
ちなみに私が退職したときもまずは上司に相談し、その後所長に口頭で伝えました。引き止めていただきましたが、決意が固いことを伝えて何とか了承していただきました。
担当取引先があれば、通常は2~3か月の引継期間が必要です。
退職した後も引継者が困らないように、引継書を作成してトラブルがないように配慮することも大切です。
避けたほうがよい時期や望ましい時期
税理士事務所に限らずですが、できるだけ職場に迷惑をかけないように繁忙期やその直前は避けたほうがよいでしょう。
税理士事務所であれば、確定申告や3月決算を考慮して12月~5月はなるべく退職を避けるのが望ましいといえます。
逆に6月~11月は比較的落ち着いている時期になりますので、職場の状況を考慮して辞めるならこの時期がベストです。
もちろん、退職理由によっては時期を選ぶ余裕がないかもしれませんが、繁忙期を避けたほうがトラブルなく退職できる可能性が高いでしょう。
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税理士事務所を辞めた後の選択肢
税理士事務所を辞めた後の選択肢として、どんな仕事が考えられるのでしょうか。
具体的な転職先としては、次の3つが有力です(今より高い年収を提示される可能性があるだけでなく、仕事内容的にも活躍できる可能性が高いです)
税理士事務所経験者が有利になる3つの転職先
- ①他の税理士事務所に転職する
- ②一般企業の経理に転職する
- ③大手税理士法人のグループ会社であるコンサル
選択肢①:他の税理士事務所に転職する
一つ目は他の税理士事務所に転職することです。今までの経験を活かして仕事ができるので、転職後もスムーズに仕事に入っていけるのがメリットです。
しかし、仕事内容が変わらないため、相手が納得できるような転職理由を説明できるかどうかが重要です。
たとえば、人間関係や待遇に不満があって退職した場合、そのまま伝えると相手に悪い印象を与え「採用しても辞める可能性が高い」と思われかねません。
嘘をつく必要はありませんが、「環境を変えることで成長したい」のように前向きな理由を添えるほうが好印象を与えられるでしょう。
選択肢②:一般企業の経理に転職する
二つ目は一般企業の経理に転職することです。税理士事務所経験者は経理転職では優遇される傾向にあります。
税理士事務所で決算から税務申告までを一通り経験している人材は、一般企業の経理では重宝されるので採用されやすいんです。
また、大手の税理士法人を除くと、税理士事務所よりも一般企業の経理のほうが給与や福利厚生がよいことが多いです。
私は税理士事務所から経理に転職しましたが、労働時間が大幅に減ったうえに年収も100万円以上アップしました。
「会計や税務の仕事を続けたいけど税理士事務所にはこだわらない」という方には、一般企業の経理はとてもおすすめです。
税理士事務所では良くも悪くも「広く浅く」会計に関する仕事をすることになりますが、1社だけ(自分が所属する企業)の会計業務ととことん深くかかわるのも面白い仕事ですよ。
決算や税務だけではなく、金融機関との融資交渉や、経営者への管理会計的なデータの提供といった、税理士事務所ではなかなか経験できない仕事を経験できるのもメリットといえます。
選択肢③:大手税理士法人のグループ会社であるコンサルなど
税理士事務所で5年~10年程度勤めていて、実績もある方であれば、コンサル業界への転職も見込めます。
具体的な候補としては、BIG4といわれる大手税理士法人がグループ傘下として持っている財務、戦略コンサルなどの企業ですね。
コンサルというと幅が広い言葉ですが、税務的な側面が強い事業承継についてのアドバイス業務から、人事制度の構築支援、経営管理の仕組み構築支援といった業務を担当することになります。
コンサルの仕事はパフォーマンスを求められる分年収も高いので、税理士事務所の年収の低さに悩んでいる…という方はコンサルも選択肢に入れてみることをおすすめします。
【税理士事務所と企業経理】転職するならどっちがおすすめ?
これから経理、財務の分野でキャリアアップしていくことを考えている方の中には、税理士事務所と企業経理のどっちを選択するべきか?で迷っている方も多いかもしれません。
ハローワークなどで経理の仕事がしたい、ということで相談してみたら、「税理士事務所はどうですか?」とおすすめされた方もおられるかもしれませんね(私も最初のきっかけはそうでした)
どちらも簿記や税務の知識を活かして働ける仕事ですが、仕事内容や給料、福利厚生などには違いがありますから、転職活動を始める前に両方のメリット、デメリットについて理解しておくことが大切です。
なんとなくイメージだけ…で転職してしまうと「こんなはずじゃなかった」と後悔することになりかねませんからね。
(実際、私はよく考えずに1社目の税理士事務所を選択し、ちょっと失敗した経験があります…)
今回は、税理士事務所と企業経理で迷っている方向けに、どっちに転職するのがおすすめかを説明させていただきます。
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税理士事務所のメリットとデメリット
まずは税理士事務所のメリットとデメリットを確認していきましょう。
そのうえで税理士事務所に向いている人はどんな人か?について説明させていただきます。
税理士事務所のメリット
税理士事務所を経理と比較した場合のメリットは、ごく簡単に言うと「企業経理よりも圧倒的に『濃い』経理分野の経験を積むことができること」です。
具体的には、経理についての経験で重要なのは決算業務についての経験ですが、企業経理では自社の決算業務を経験することになりますから、1年に1回しか決算業務を経験することができません。
一方で、税理士事務所では自分が担当する企業の決算業務をすべて処理しますから、20件の担当先企業を持っている人であれば年間20回もの決算業務を経験することができるんです。
税理士事務所では圧倒的に多くの「決算業務」の経験を積むことができる
- 企業経理での決算業務:年に1回
- 税理士事務所での決算業務:年に20回~30回
多くの取引先の経理や決算、税務申告までを幅広く経験できることは、その後に経理や財務の分野でキャリアアップしていくことを考えている人にとって、貴重な財産になるでしょう。
また、入社後は担当の取引先の決算・税務申告を任され、多くの経営者と関わることになります。
普通の仕事では、企業の社長さんと直接的にかかわるような経験はなかなかできませんよね。
中には得意先として担当していた企業の経営者と仲良くなり、そのままその企業の経理担当者としてヘッドハンティングされていく人も少なくありません(このケースはとても多いです)
税理士を目指す人は、勉強と両立しやすい環境があるのも魅力
税理士事務所を目指す人の多くが、税理士試験の勉強を同時進行で進めている方だと思います。
事務所の中で自分と同じように勉強をしている人がいることは、試験勉強のモチベーションになるのは間違いありません。
税理士事務所で働いていると、職場の同僚と資格スクールの教室ではちあわせ…ということはよくある話です。
税理士事務所を選ぶときには、その事務所に所属している先輩社員の中に、何人ぐらいの科目合格者や官報合格者(5科目全科目の合格者)がいるか?といったこともチェックしておくとよいですね。
逆に言うと、従業員が10人以上いるのに、科目合格者が1人もいない…というような状況の税理士事務所では、仕事が忙しすぎて試験との両立が難しい状況であることが予測されます。
税理士試験の勉強をしながら税理士事務所での実務経験を積もうと考えている方は、この点は注意しておくとよいでしょう。
税理士事務所の経験は、その後のキャリアアップの土台となる
決算や税務に留まらず、経営に関する幅広い知識が求められるため、未経験の場合は慣れるまで大変ですが、ここまで幅広く経験できる仕事はなかなかありません。
もちろん、税理士を目指している方は税理士として独立するためには税理士事務所の経験は必須になります。
その他、税理士事務所での経験を生かして、財務分野の戦略コンサルティングなどに転職している人もいますね。
税理士事務所での経験は、その後のキャリアアップの強固な土台となることは間違いありません。
税理士事務所のデメリット
一方で、税理士事務所で働くことのデメリットについても見ておきましょう。
税理士事務所のデメリットはずばり、「給与や福利厚生などの条件が、一般企業に比べて劣る事」です(簡単にいえばお給料が安いです)
税理士事務所というのは、簡単に言うと代表税理士の個人事務所です(一部税理士法人として法人化しているケースもありますが)
大手の企業などと比べると年収、福利厚生ともにあまり充実していないというのが実情であることは知っておきましょう。
税理士事務所の平均年収は?
実務未経験で入社する場合、科目合格数にもよりますが、多くの事務所で年収は300万円~350万円で、400万円を超えることは難しいです(もちろん、経験者であればもっと高いケースもあります)
そのうえ、所長税理士のワンマン経営や社会保険未加入、長時間労働・休日出勤が常態化している事務所も少なくありません。
特に、1月~3月にかけての確定申告時期(この期間中は、個人事業主のお客さんの税務申告を行います)の繁忙期では、毎日深夜まで仕事をしている税理士事務所がほとんどですね(その他の期間は定時で帰れることが多いのですが)
そのため、事務所選びに失敗してしまうと、せっかく試験勉強と実務を両立したいと思っても難しかったり、体を壊してしまう可能性もあります。
未経験者は特に転職先の勤務環境が健全で、試験勉強との両立に理解がある事務所を選ぶことが重要です。
税理士事務所を選ぶなら「将来のための修行」と割り切るのがおすすめ
まとめると、税理事務所は経理財務分野で実務の経験値を積むのには最適ではあるものの、年収や福利厚生では企業経理よりも劣るということになります。
なので、おすすめのキャリアアップ方法は3年間~5年間ほどは税理士事務所で「修行」と割り切り、できればその間に税理士試験にも合格して、その後に独立や大手企業への経理職としての転職という形でステップアップしていくことです。
おすすめのキャリアアップ方法
- まずは税理士事務所でキャリアスタート
- 3年間~5年間は修行と割り切って働く(できれば税理士試験にも合格)
- 税理士として独立、または大手企業の経理職へステップアップ
税理士事務所は未経験者でも採用される?
税理士事務所でキャリアをスタートするといっても、まったくの未経験で採用されるのかな…?と不安に感じる方もおられるかもしれませんね。
結論からいうと、税理士事務所は未経験者であっても正社員として採用される可能性は十分にあります。
※実際、未経験者OKの税理士事務所求人はこんなにたくさんあります
一般企業の経理転職だと、未経験者だとなかなか難しい(特に男性の場合)というのが実際のところですが、税理士事務所では未経験者に対しても広く採用の門戸は開かれているとみてよいです。
一般企業の経理職を探して転職活動をしているけれど、未経験者ということで書類選考で落ちてしまう…という方は、税理士事務所も選択肢に入れてみるとよいですよ。
税理士事務所に向いている人
税理士事務所にはどんな人が向いているのか?をまとめると以下のようになります。
- 税理士を目指している人
- 入社数年間は収入が少なくても耐えられる人
- 経理分野でキャリアアップしていくために実務経験を積みたい人
税理士を目指している人は間違いなく向いていますが、試験勉強との両立を考えると科目合格がある状態で転職するのがおすすめです。
また、給与水準がやや厳しいので、実家暮らしの人や収入が下がることに家族が理解してくれるかどうかも重要です。
入社数年間は収入が減ることも覚悟する必要があるものの、税理士事務所で積むことができる経験値はその後のキャリアアップに大いに役立ちます。
「将来は企業経理に転職したいけど、その前に決算から税務まで一通り経験したい」という方も税理士事務所からキャリアをスタートしてみるのは良い選択だと思いますよ。
ただし、「〇年後までには転職する、あるいは独立する」ということをしっかりと決め、あらかじめ税理士事務所で働く期間を設定しておかないと、転職のタイミングを逃してしまう恐れがあるので注意が必要です。
(基本的に「税理士事務所で定年退職まで働く」ということは考えにくいです。先にも開設させていただいたように、税理士事務所というのは署長税理士の個人事務所である場合がほとんどですから、その所長税理士が引退したら事務所も廃業ということが多いためです)
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経理のメリットとデメリット
次に、企業経理のメリットとデメリットを確認していきましょう。
企業経理のメリット
企業経理のメリットはじっくり経験を積んでいけることと、給料や福利厚生が安定していることです。
特に大手企業では、税理士事務所よりもかなり良い条件で転職できる可能性があります。
未経験者の相場は400万円前後で税理士事務所よりも高く、各種手当や退職金制度などの福利厚生も整っていることが多いのが特徴です。
経理というのは営業職などとは違って基本的に年功序列の世界ですから、落ち着いた環境でじっくりとキャリアアップをしていきたいと考えている方に向いているでしょう。
経理の仕事内容はどんなもの?
企業経理というのは基本的にチームプレイです。
自分勤務先の経理について、自分の担当業務に取り組むことになります。
たとえば、売掛金入金管理業務、買掛金支払業務のように担当業務が別れていることが多いですね。
チームプレイである分、周囲の人のサポートもありますから、わからないことがあっても聞ける人がいることがほとんどです(この点、税理士事務所の職員は基本的に一匹オオカミで仕事をすることになります)
1つの企業でずっと勤めていきたい、と考えている方は税理士事務所よりも企業経理(できれば大手)を選ぶのがおすすめです。
企業経理のデメリット
企業経理のデメリットは自己完結する仕事が少なく、経理の仕事の全体の流れがわかりにくいことです。
企業経理の場合は規模が大きいので、ひとりで日々の会計処理から決算・税務申告までこなすことはできません。
そのため、分業制になるので担当業務にじっくり取り組める分、決算から税務申告までの一通りの流れがわかりにくいという面があるんです。
例えば、売上処理の担当になったら、売上については業務を詳しく把握できても、仕入れについてはさっぱりわからない…という形になりがちです。
また、基本的に勤務先の経理のみなので、他の会社や業種の経理を経験できませんし、希望する業務(たとえば決算業務など)を任せてもらえるかどうかもわかりません。
企業経理では決算業務は経理部門のリーダーレベルになってから担当する場合がほとんどですね(それだけ重要な仕事ということでもあります)
決算から税務まで一通り経験したい人には、企業経理は物足りなさを感じる可能性があります。
企業経理が向いている人
まとめると、企業経理に転職するのが向いているのは以下のような人です。
企業経理に向いている人
- 安定した給料や福利厚生など働きやすさを重視する人
- 周囲の人と協力しながら仕事を進めたい人
- 1つの企業で定年退職まで働きたい人
給料や福利厚生など働きやすさを重視するなら企業経理が向いています。
できる限り大手の企業への転職に成功すれば、定年退職まで安定的なキャリアを築いていける可能性があります(経理は営業職のように結果を出せないといづらくなる…という職業ではありませんから、自分の仕事をしっかりとこなしていれば安定的にキャリアアップしていけます)
また、企業経理は分業制なので、周囲の人と協力しながらチームプレイで仕事をしたい方も向いているでしょう。
まとめ
税理士事務所と企業経理は、どちらも簿記や税務の知識を活かして働ける仕事ですが、仕事内容や福利厚生、キャリアの築き方には大きな違いがあります。
税理士事務所と企業経理のどっちを選ぶ?
- 将来的に独立、転職をしながらキャリアアップしていきたい人:税理士事務所がおすすめ
- 一つの企業で安定的にキャリアアップしていきたい人:企業経理がおすすめ
どちらがいいかはその人の置かれている状況や目指しているものによって異なります。
ご自身の長期的なキャリアアップという視点から、どっちに向いているかを理解したうえで転職先を選んでみてくださいね。
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