ピグマリオン効果とはものすごく簡単にいうと、「まわりから期待された人のパフォーマンスは、期待されていない人よりも高くなる」という効果のことです。
なんだかいいことずくめのようですが、最新の研究や実験ではピグマリオン効果について批判的に考えている人もいます。
この記事では、さまざまな側面があるピグマリオン効果の意味や、心理学や教育現場での具体例について紹介しますので、参考にしてみてくださいね。
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ピグマリオン効果とは?
ピグマリオン効果の意味について、もう少しくわしく見ていきましょう。
冒頭でも見たように、ピグマリオン効果とは、まわりから期待をかけられている人は、そうでない人よりも高いパフォーマンスを発揮する傾向があるという現象のことをいいます。
ピグマリオン効果は、1960年代にアメリカの教育心理学者ローゼンタールによって提唱された考え方ですが、現代では実験方法の不備について批判がされることもあります(その具体的な内容については後でくわしく説明します)
ピグマリオン効果の具体的な事例としては、教育の場で先生から期待をかけられている生徒は成績がよりよくなり、そうでない生徒は成績が下がるということがいわれることがあります。
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ピグマリオン効果の名前の由来は?
ピグマリオン効果の「ピグマリオン」という名前は、ギリシャ神話に由来があります。
その昔、キプロス島の王様であったピグマリオンは、自分が理想とする女性像を彫刻で作り、その彫刻にガラテアという名前を付けます。
ピグマリオンがガラテア(彫像)に服を着せたり、いっしょに食事をしたり…ということをしているうちに、この彫刻に恋をしていくようになります。
その姿をあわれに思った女神アフロディテは、この彫刻に命を吹き入れて上げたというのがこの話のあらすじです。
つまり、女性の彫刻に期待をかけたピグマリオンが期待通りの結果を女神によって与えられたように、日常生活で期待をかけられた相手は、期待をかけた人の期待通りの行動をとる傾向があると考え、これに「ピグマリオン効果」という名前をつけたというわけですね。
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ピグマリオン効果を証明したローゼンタールの実験
ピグマリオン効果を証明した実験の中で最も有名なものは、ローゼンタールとジェイコブセンの小学校での実験が挙げられます。
ローゼンタールとジェイコブセンは、「天才になる可能性」を見せている上位20%の生徒の名前を、教師たちに知らせました。
もちろん、これらの生徒は以前の試験の結果とは関係なく無作為に選抜されましたが、教師はこのことを知らされていません。
8ヶ月後、ローゼンタールとジェイコブセン学生をテストしたところ、無作為に選ばれ、教師に期待をかけられた20%の学生の方が、選ばれなかった80%の学生よりはるかに得点が高いことがわかりました。
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ピグマリオン効果の具体的な活用例
ピグマリオン効果が実際の日常生活でどのように応用されるのか?について、具体例をあげながら見ていきましょう。
組織のマネジメントや、リーダー的役割を持っている人は、ピグマリオン効果を上手に活用することで望む結果を得ることに役立つかもしれませんよ。
ピグマリオン効果の活用が期待できる具体例
- ①仕事の場での活用例
- ②教育現場での活用例
以下、順番に見ていきましょう。
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①ピグマリオン効果の仕事の場での活用例
仕事の場での活用例では、期待をかける言葉をかける部下と、そういうことをしない部下とではパフォーマンスに差が出ることがよく知られています。
例えば、営業成績の出せない社員に対してはけなすような言葉をかけるのではなく、「期待しているよ」とか、「順調だよ」などの言葉をかけてあげるとピグマリオン効果によりパフォーマンスアップが期待できるでしょう。
②ピグマリオン効果の教育現場での活用例
教育現場での活用例では、成績が伸びない生徒に対して、面談の際にポジティブなフィードバックを与えてあげることが効果的です。
「なんでわからないの?」「もっとがんばらないといけない」というように声をかけるよりも、「あなたは、まだきっかけがつかめてないだけで、今後必ず頭が良くなる」という言葉をかけてあげるとピグマリオン効果がはたらき、成績アップを期待することができるでしょう。
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ピグマリオン効果への批判は?
一方で、ピグマリオン効果について批判的な立場をとる研究者もいます。
上でも見たように、ピグマリオン効果はローゼンタールというアメリカの研究者が1960年代に実験によって主張した説ですが、この実験方法が不十分であるためにそもそもピグマリオン効果の根拠自体があいまいだという批判がされることがあります。
実験で、期待をかけた生徒がいい成績を残したのはたまたまだというのです。
実際、実験に参加した教師たちは、無作為に選ばれた20%の生徒の名簿や名前をしっかり覚えていなかったという事実が指摘されています。
実際に正しい手順で実験が行われたのか証明できないという点、また、実験の再現性が低いという点よりピグマリオン効果への批判が行われることがあるのです。
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ピグマリオン効果と他の心理効果の違い
ピグマリオン効果と似たような心理効果は他にも存在します。
ここではピグマリオン効果と他の心理効果の違いに焦点を当てて理解しておきましょう。
- ①ピグマリオン効果とホーソン効果
- ②ピグマリオン効果とゴーレム効果
- ③ピグマリオン効果とハロー効果
- ④ピグマリオン効果とマタイ効果
以下で順番にくわしく説明します。
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①ピグマリオン効果とホーソン効果の違い
ホーソン効果とは、誰かから見られることで、相手の期待に応えたい心理的行動によって自分の行動を変えるという効果です。
期待されることで結果が変わるのではなく、誰かから見られることで結果が変わるという点がピグマリオン効果と異なる点です。
②ピグマリオン効果とゴーレム効果の違い
ゴーレム効果とは、人に対して悪い印象を持ち接することで、悪い結果が生じるという効果で、一般的にはピグマリオン効果の逆のパターンと認識されています。
例えば、この人は悪い人間だと思って接すると、その人のやること全てが悪いことのように見えたりします。
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③ピグマリオン効果とハロー効果の違い
ハロー効果は、物事の一部をとらえて、その物事の全体を評価する傾向にあるという主張のことです。
他人からの期待ではなく、実際起こった事に対して焦点が当たっているという点で、ピグマリオン効果とは異なります。
「この人はいつも身だしなみが整っているから、この人の部屋も綺麗に片付いているに違いない」というのは、典型的なハロー効果の表れです。
④ピグマリオン効果とマタイ効果の違い
マタイ効果は、新約聖書のマタイによる福音書に由来しています。
「成功する人はさらに成功する」という意味を表した効果で、こちらも実際に起こっている物事に焦点が当たっているという点で、ピグマリオン効果とは異なります。
例えば、「お金はお金持ちのところに集まる」という言葉はマタイ効果を端的に表しています。
まとめ
今回は、ピグマリオン効果について解説しました。
本文で紹介しましたが、良い結果を期待されている人は、良い結果が出るという傾向があり、期待されない人は悪い結果が出るという傾向があります。
もしこれから、あなたが仕事や学校などで様々な人をまとめる立場になった場合、この記事をぜひ参考にしてみてくださいね。
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