平成に代わる新元号は「令和(れいわ)」に決定しました(2019年4月1日)
これによって平成は2019年4月30日で終了し、2019年5月1日は「令和元年5月1日」となるわけですね。
この記事では、
- 「令和って何?どんな意味があるの?」
- 「令和の由来は万葉集?」
- 「令和以外の他の元号案はどうなったの?」
といった疑問をお持ちの方向けに、現在発表されている内容をまとめました(随時更新していきたいと思います)
↓ごく大まかに「令和」の由来や意味を説明すると、以下のようになるかと思います。
(質疑応答に当たって、安倍総理がしきりに「花を咲かせる」という言葉を使っているのが印象的でした)
令和の由来
「令和」の由来は、万葉集に納められている「初春の令月(れいげつ)にして、気淑(き よ)く風和(かぜやわら)く。梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き、蘭(らん)は珮後(はいご)の香(こう)を薫(かおら)す」という歌に由来があります。
これは、「令月(旧暦2月を指します)は寒い月ではあるが、梅が美しく咲く月でもあり、新しいことを始めるには最適な時期だ」という内容を詠んだ歌です。
令和の意味
このことから、「近年には大災害や人口減少などのつらい事象があいついだが、寒い2月に美しい梅が咲き始めるように、新しい時代を切り開いていこう」という思いが込められているものと思われます。
(後で見る総理の談話では「厳しい寒さの後に、春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人一人の日本人が明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる。そうした日本でありたい。その願いを込め、令和に決定いたしました」と説明されています)
災害が相次ぐ昨今の日本の現状を「令月=寒い月」になぞらえたうえで、その季節に咲く梅の花のように、日本人が希望をもって生きていけるようにという願いが込められているのでしょう。
従来と異なり「国書」を由来とする元号としたことについて
また、あえて万葉集という日本独自の国書から言葉をもってきた(従来は中国の文献を参考に元号を決めてきました)のも画期的なことです。
数次にわたる安倍内閣の外交安保の基本スタンスは明確に「中国との対峙(たいじ:にらみをしっかりときかせるという意味)」です。
こうした軍事を含む日本の外交環境の変化も、令和という新元号の制定経緯をうかがい知る一つの材料とみることができるでしょう。
新元号【令和:れいわ】の意味や由来について
↓なぜ新元号を「令和」としたのかについては、安倍首相が説明会見で以下のように発言しています。
※安倍総理大臣の発言内容全文
本日、年号を改める政令を閣議決定いたしました。
新しい元号は令和であります。
これは、万葉集にある「初春の令月にして、気淑く風和く。梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す」この文言から引用したものであります。
(しょしゅんのれいげつにしてきよくかぜやわらぎうめはきょうぜんのこをひらきらんははいごのこうをかおらす)
そして、この「令和」には、「人々が美しくこころを寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という意味が込められております。
万葉集は1200年余り前に編纂された日本最古の歌集であるとともに、天皇や皇族、貴族だけでなく、防人や農民まで幅広い階層の人々が詠んだ歌が納められ、我が国の豊かな国民文化と長い伝統を象徴する国書であります。
悠久の歴史と薫り高き文化、四季折々の美しい自然、こうした日本の国柄をしっかりと次の時代へと引き継いでいく。
厳しい寒さの後に、春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人一人の日本人が明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる。
そうした日本でありたい。
その願いを込め、「令和」に決定いたしました。
文化をはぐくみ、自然の美しさをめでることができる平和な日々に心からの感謝の念を抱きながら、希望に満ち溢れた新しい時代を国民の皆様とともに、切り開いていく。
新元号の設定に当たり、その決意を新たにしております。
5月1日に皇太子殿下がご即位され、その日以降、この新しい元号が用いられることとなりますが、国民各位のご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。
政府としても、ほぼ200年ぶりとなる歴史的な行為の継承がつつがなく行われ、国民こぞってことほぐことができるようその準備に万全を期してまいります。
元号は、皇室の長い伝統と、国家の安泰と、国民の幸福への深い願いとともに、1400年近くにわたる我が国の歴史を紡いできました。
日本人の心情に溶け込み、日本国民の精神的な一体感を支えるものとなっています。
この新しい元号も、広く国民に受け入れられ、日本人の生活の中に深く根差していくことを心から願っています。
日本最古の歌集である「万葉集」に出てくる、「梅の花32種の序文」の以下の文章が、新元号「令和」の由来とされています。
「于時初春令月 氣淑風和梅披鏡前之粉 蘭薫珮後之香」
「初春の令月にして、気淑く風和く。梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す」
この文章の読み方は以下の通りです。
「しょしゅんのれいげつにしてきよくかぜやわらぎうめはきょうぜんのこをひらきらんははいごのこうをかおらす
意味は以下のようになります。
「初春の令月にして、気淑く風和く。梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す」
「令月(=旧暦の2月)何を始めるにしても良い月です。風はゆるくて空気も澄んでいる。梅の花が美しく、蘭の花の香りが漂っていてとても気持ちが良い」
といったような意味です。
万葉集は日本人が初めて作った歌集であり、これまでは中国の古典などを参考に決められてきた元号が、日本由来の古典から決められた最初です。
これは画期的なことといえるとともに、日本人が日本人としてのアイデンティティを取り戻そうとしている世相を反映しているといえるかもしれません。
梅の花のように、ひとりひとりの日本人が明日への希望とともに、それぞれの花を大きく花を咲かせることができる、そうした日本でありたいという願いを込め、令和に決定した。
安倍総理への質疑応答文字起こし
産経新聞記者による質問(10分15秒~)
これまで元号はすべて中国の古典を由来としてきたとされているが、日本の古典(万葉集)を由来として元号とした総理の思いとは何か?
平成の30年間は人口減少、自然災害が相次いだ。
日本は今大きな転換点を迎えている。
平成の次の時代にどのようなことを期待しているか。
安倍総理の応答
我が国は歴史の大きな転換点を迎えていますが、いかに時代が移ろうとも、日本には決して色あせることのない価値があると思います。
今回は、そうした思いの中で、歴史上はじめて、国書を典拠とする元号を決定いたしました。
特に万葉集は1200年余り前の歌集ですが、一般庶民も含め、地位や身分に関係なく、幅広い人々の歌が納められ、その内容も当時の人々の暮らしや息遣いが感じられ、まさに我が国の豊かな国民文化を象徴する国書です。
これは世界に誇るべきものであり、我が国の悠久の歴史、薫り高き文化、そして四季折々の美しい自然。
こうした日本の国柄はしっかりと次の時代にも引き継いでいくべきであると考えています。
また同時に、急速な少子高齢化が進み、世界がものすごいスピードで変化していく中で、変わるべきは変わっていかなくてはなりません。
平成の30年間ほど改革が叫ばれた時代はなかったと思います。
政治改革・行政改革・規制改革・抵抗勢力という言葉もありましたが、平成の時代、さまざまな改革はしばしば大きな議論を巻き起こしました。
他方、現在の若い世代、現役世代はそうした平成の時代を経て、変わること、改革することをもっと柔軟にもっと前向きにとらえていると思います。
ちょうど本日から働き方改革が本格的にスタートします。
70年ぶりの労働基準法の大改革です。
かつては何年もかけてやっと実現するレベルの改革が近年は国民的な理解のもと、着実に行われるようになってきたという印象を持っています。
そうした中で、次の世代・時代を担う若者たちが、それぞれの夢や希望に向かって、頑張っていける社会。
一億総活躍社会を作り上げることができれば、日本の未来は明るいとそう確信しています。
新しい元号の元、一人一人の日本人が、明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる。
そういう時代を国民の皆様とともに築き上げていきたいと思います。
フジテレビ記者の質問(14分28秒~)
平成の改元時とは異なりまして、今回総理が自ら談話を読み上げられた理由は何か。
また、新たな元号を決めるにあたって、これまで複数の案があったと思うが、「令和」という元号に決定した最大の決め手は何か。
安倍総理の応答
今回、元号を発表するにあたり、誰が発表するかという議論がずいぶんあったと思いますが、新しい元号は本日、政令というかたちで閣議決定いたしましたが、通常閣議の内容は官房長官が公表しております。
そのため今回も、新元号については平成の時と同じように官房長官が発表することといたしました。
そのうえで、平成の改元時にはですね。当時の竹下総理の談話が発表されています。
当時は総理大臣が会見を行うということは極めてまれでありましたが、平成の30年を経て総理大臣が直接発信する機会も増大を致しました。
私自身、何らかの出来事があるとですね。官邸にある際、声がかかりマイクを向けられることもあります。
そうした時代に合ってですね。平成の時と同様に総理大臣談話を発表するのであれば私みずからが会見を開いて、国民の皆様に直接申し上げるべきだと、こう考えた次第であります。
また、元号の選考につきましては他の案が何かということも含めまして検討過程について申し上げることは差し控えますが、
我が国が誇る悠久の歴史、文化、伝統の上に次の世代、次の時代を担う世代のために未来に向かってどういう日本を築き上げていくのか。
そして、その新しい時代への願いを示すうえでもっともふさわしい元号は何か。
という点が一番の決め手でありました。
ニコニコ記者の質問(17分28分~)
若い世代やこれから生まれてくる子供たちは、新しい元号(令和)の中心を担う世代です。
元号選定にあたっては、こうした世代のことをどのようにお考えになったんでしょうか。
安倍総理の応答
本日の会見はですね、インスタライブやTwitterで生中継をされていますが、今の若い世代の皆様はですね、こうしたSNSなどの新しいツールをですね、見事に使いこなすことでどんどん新しい文化を作り上げています。
ニコニコ動画もですね。
既存メディアの発想にとらわれることなく、若者たちならではの柔軟さで多様な番組を生み出し、リアルタイムで個人がコメントを発信できる新しいメディアの姿を形作られたと、こう思っています。
そして、こうした若い世代の新しいムーブメントは、確実にこれまでの政治や社会のありように大きな変化をもたらしつつあります。
本当に頼もしい限りであると思っておりますが、日本の未来を明るいと感じています。
新しい時代にはこのような若い世代の皆様が、それぞれの夢や希望に向かって、思う存分活躍することができるそういう時代であってほしいと思っています。
この点が、今回の元号を決める大きなポイントでもありました。
今回の元号は万葉集にある「梅の花~」の歌32首序文からの引用です。
この中では厳しい寒さの後、春の訪れを告げるように、見事に咲き誇る梅の花の情景が美しく描かれております。
平成の時代のヒット曲に「世界に一つだけの花」という歌がありましたが、次の時代を担う若者たちが、明日への希望とともにそれぞれの花を大きく咲かせることができる。
そのような若者たちにとって希望に満ち溢れた日本を国民の皆様とともに作り上げていきたいと思っています。
(20分16秒~)※記者の名前や質問内容の前半が聞き取り不能であったため、総理の応答内容より以下の内容の質問と推測しています。
皇太子さまのご即位に当たっての想いは。
また、元号の決定にあたって、皇太子殿下とはどのようなやり取りがあったのか。
安倍総理の応答
2月の22日と3月29日に皇太子殿下にお会いをいたしましたが、その際の内容等についてはお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
皇太子殿下におかれては、本年2月のお誕生日に際しまして、今上陛下のこれまでのお姿を心にとどめ、国民につねに寄り添い、人々とともに喜び、あるいはともに悲しみながら象徴としての務めを果たしていきたい、とのお気持ちを明らかになさったと承知をしており、大変ありがたいことであると考えています。
私としては、皇太子殿下のご即位を心からお喜び申し上げますとともに、先ほど申し上げた殿下のお気持ちをしっかりと受け止め、新しい令和の時代を、国及び国民統合の象徴となる殿下とともに歩みを進めてまいりたいたいと、こう思っております。
今月は平成最後の月となります。
このひと月、平成の時代に、そして、天皇皇后両陛下のご足跡とご実績に思いを馳せつつ、新しい時代に向けて天皇陛下のご退位と皇太子殿下のご即位がつつがなく行われるように万全を期していきたいと思います。
そして、新しい時代にふさわしい令和の時代を切り開いていくために準備万端、万全を期していきたいと考えております。
なお、新元号については、閣議決定を行った後に宮内庁を通じて今上陛下および皇太子殿下にお伝えをいたしました。
他の元号案はどうなったのか?
菅官房長官の説明によると、新元号の決定は「複数の中から一番良い」という形で行うべきものではないため、令和の他に候補として挙がっていた元号案については、今後も発表する予定はないということでした。
日本国民としてはどのような案が出ていたのか?はとても気になるところですが、この点に関してはしょうがないのかもしれませんね。
また、「令和」の考案者についても、個人が特定されてしまうとその人の価値観が世の中を決めたような印象を与えてしまうため、こちらも発表の予定はないということでした。