この記事では、中学国語で勉強する「春に(谷川俊太郎の詩)」の指導案やテスト問題作成のポイントについて解説させていただきます。
詩をテーマにした教材の指導は苦手としている先生方も少なくありませんが、ポイントを押さえればそれほど難しいことではありません。
生徒の皆さんは、テスト対策にもなる内容になっていますので、参考にしてみてくださいね。
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春に【谷川俊太郎】詩の本文
春に
谷川俊太郎この気もちはなんだろう
目に見えないエネルギーの流れが
大地からあしのうらを伝わって
ぼくの腹へ胸へそうしてのどへ
声にならないさけびとなってこみあげる
この気もちはなんだろう
枝の先のふくらんだ新芽が心をつつく
よろこびだ しかしかなしみでもある
いらだちだ しかもやすらぎがある
あこがれだ そしていかりがかくれている
心のダムにせきとめられ
よどみ渦まきせめぎあい
いまあふれようとする
この気もちはなんだろう
あの空の青に手をひたしたい
まだ会ったことのないすべての人と
会ってみたい話してみたい
あしたとあさってが一度にくるといい
ぼくはもどかしい
地平線のかなたへと歩きつづけたい
そのくせこの草の上でじっとしていたい
大声でだれかを呼びたい
そのくせひとりで黙っていたい
この気もちはなんだろう
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春に【谷川俊太郎】指導案のポイント
この作品の指導ポイントは、詩で使われている表現技法と、「エネルギー」という言葉の2つです。
この2つのポイントを押さえて作品の解説を行うことで、作品に込められた想いや意味に気づくことができるようになります。
以下、それぞれのポイントについてくわしく説明します。
指導案作成のポイント①:詩で使われている表現技法について
「春に」に限らずですが、詩が題材の授業では、生徒に表現技法を必ず教えましょう。
詩は少ない字数で、気持ちをどれだけ伝えることができるかがかぎです。
そのために、筆者は音や見た目で、リズム感が出るようにしたり、印象に残るようにしたりということをしています。
どういった表現技法を使っているかは記事の後半で説明します。
今後の詩の授業や、テストで詩が出てきた時に、より理解が深まるように、表現技法は強調して生徒に伝えてください。
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指導案作成のポイント②:エネルギーという言葉について
「この気持ちはなんだろう」に始まり、「この気持ちは何だろう」で終わるこの作品は、読み手がうまく言葉にできないが、「そこには何かエネルギーがある」ということを伝えています。
幼稚園の時とも、小学校低学年の時とも違う、新しい感情が読み手に生まれているのです。
生徒たちの中にも何とも言えない気持ちになって、友達や親に上手く説明できなくて…ということを経験したことがある人が多いと思います。
そういった気持ちを、生徒だったらどう表現するかを考えさせることが大切です。
国語指導では論理的な思考能力を育てるだけでなく、表現力をつけさせることも重要な課題となります。
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春に【谷川俊太郎】国語テスト問題の解説
次に、「春に」からの出題が考えられるテスト問題についてみていきましょう。
先生は問題作成の参考に、生徒はテスト対策のヒントに使ってください。
「春に」からのテスト出題としては、次のような問題が考えられます。
谷川俊太郎「春に」からのテスト問題例
- ①作品のテーマとなっている季節についての問題
- ②「ぼく」の気持ちについての問題
- ③比ゆ表現についての問題
- ④「ぼく」がいる場所についての問題
- ⑤詩の表現の意味についての問題
以下、順番に説明させていただきます。
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テスト問題例①:作品のテーマとなっている季節についての問題
解答と解説
「新芽」
タイトル以外から季節を読み取ることができます。
今回は「新芽」という言葉が、春ならではの用語です。
国語の作品を通して、季節の言葉を確かめていくことは、国語の力を伸ばすことにつながります。
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テスト問題例②:「ぼく」の気持ちについての問題
作中の「ぼく」の気持ちに合わないものを一つ選びなさい。
- ア.前向き
- イ.戸惑い
- ウ.不安
- エ.楽観
解答と解説
「エ」
楽観の気持ちのみどこにも当てはまらないので、解答はエになります。
詩後半の「会ってみたい話してみたい」のように、「~したい」という感情から、前向きさが伝わる。
一方で、自分の気持ちが色々まざっている「ぼく」は、上手く自分の気持ちを説明できていない。
そのことに戸惑いと不安が感じられます。
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テスト問題例③:比ゆ表現についての問題
この作品には、比ゆ表現が使われています。「ぼく」の心の中を、どういった言葉で表現していますか。
文中の言葉で4字で抜き出しなさい
解答と解説
「心のダム」
ここでは、気持ちをそのまま吐き出せずにとどまっていることを、「ダム」に例えています。
詩は、表現技法の使い方が言葉の勉強になるため、先生はテスト問題に必ず出しましょう。
生徒は、必ず出ると思い対策しましょう。
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テスト問題例④:「ぼく」の場所についての問題
「ぼく」はどこにいますか。文中のことばで抜き出しなさい。
解答と解説
「草の上」
「この草の上でじっとしていたい」という言葉からわかります。
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テスト問題例⑤:詩の表現の意味についての問題
「ぼくはもどかしい」とありますが、なぜもどかしいのですか。「エネルギー」という言葉を用いて説明しなさい。
解答の解説
「何かをしたいエネルギーであふれているのに、そのエネルギーをどううまく使えばよいのかわからないから」
「ぼく」がエネルギーいっぱいであることが、その前の「~したい」などからもわかります。
しかし、その一方で挑戦することに不安や、何から始めたらいいかわからない気持ちがまざっているので、もどかしく感じています。
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春に【谷川俊太郎】表現技法の意味
最後に、この作品で使われている表現技法を詳しく見ていきます。
この作品には次の3つの技法が使われていますので、それぞれをしっかり押さえましょう。
谷川俊太郎「春に」で使われている表現技法
- ①反復
- ②対句
- ③比ゆ
以下、順番に説明させていただきます。
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①反復
同じ言葉を繰り返す表現技法です。
この作品では「この気持ちはなんだろう」が4回、一字一句変えずに出てきます。
何度も繰り返して使うことで、より伝えたい強い言葉、強い思いととらえることができます。
②対句
似たような表現を並べ、リズム感を出すとともに読み手の気持ちを表現する技法です。
よろこびだ しかしかなしみでもある
いらだちだ しかもやすらぎがある
あこがれだ そしていかりがかくれている
上記の部分が対句です。
〇〇だ~〇〇ある(いる)でそろえているので、声に出して読んだときにリズム感を出す効果があります。
③比ゆ
気持ち等を何かに例える表現技法です。
「心のダム」「新芽が心をつつく」が、比ゆにあたります。
実際に心臓にダムがあったり、植物が心臓をつついたりはしませんよね。
これは明らかに比ゆを用いた表現です。
比ゆを用いることで、直接的な言葉では伝わりにくい印象や、作者が伝えたい情景が心にぱっと広がる効果を生むことができます。
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