紫式部原作の「源氏物語」は、日本人なら誰もが知っている古典の名作です。
ですが、古文で全54巻もあるとなると、興味があっても手を出しずらいですよね。
今回は、そんな方にために「源氏物語」のあらすじを簡単に紹介します。
学校の授業で習うという方、興味がある方はぜひ参考にしてみてくださいね。
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「源氏物語」のあらすじを簡単に解説!
「源氏物語」は、光り輝く美貌を持った男性貴族・光源氏(ひかるげんじ)の物語です。
3部構成で、第1部・第2部は源氏の生涯、第3部は源氏の死後、彼の表向きの息子・薫を中心に描いています。
皇族ながら臣籍降下(進化の身分になること)した光源氏は、その美貌や才能、性格などを駆使し、女性たちを魅了していきます。
実母に似ている義母との逢瀬、義母にそっくりで後に最愛の人となる少女との出会い、愛する人の死、妻の不義など、波乱万丈な人生を生き抜きます。
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「源氏物語」の登場人物
「源氏物語」は大長編であるため、たくさんの登場人物がいます。
そのため、こちらでは、メインストーリーに関わる主要人物のみを紹介しています。
「源氏物語」主な登場人物
- 光源氏:桐壺帝の第二皇子。母の身分が低いため、臣下の身分に落とされる。白皙の美男子で、学問・詩歌・管弦などのあらゆる才能にあふれている
- 藤壺:源氏の母・桐壺更衣にそっくりで、更衣亡き後に桐壺帝の妻になる。源氏の初恋の人
- 葵の上:源氏の親友・頭中将の妹で、源氏の正妻。源氏より4才年上。気位が高い
- 紫の上 (若紫):藤壺の姪で、源氏が生涯愛し続けた姫
- 六条御息所:源氏より7才年上の未亡人。物事を思いつめてしまう性格ゆえに生霊となってしまう
- 明石の君:源氏が左遷中に出会った、自立した女性
- 女三宮:源氏の義兄の娘で、第2の正妻。頭中将の息子・柏木と密通してしまう
- 柏木:頭中将の息子。蹴鞠の大会で女三宮に惹かれる
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現代でも通じる!素敵すぎる和歌に注目!
「源氏物語」の注目ポイントのひとつに、登場人物たちが作る和歌があります。
恋の歌や季節を詠んだ歌などバラエティ豊かで、作中で登場するものを合計するとなんと全795首もあるとか。
こちらでは、そんな中でもとくに有名な恋の歌を3首ピックアップしました。
現代人もきゅんきゅんしてしまう、源氏が詠んだ素敵すぎる和歌をどうぞ!
①見てもまた 逢ふ夜まれなる夢のうちに やがてまぎるる我が身ともがな
意味:こうしてお目にかかっても、あなたと逢える夜はめったにないでしょうから、夢としか思えぬ逢瀬の中で、このまま消えてしまいたい。
「若紫」の段で、源氏が藤壺と密通した後に詠んだ和歌です。
- 幼い頃からずっと恋焦がれていた藤壺と逢瀬を重ねられた喜び
- 父に対する裏切りをとがむ気持ちと義母と通じてしまった不安
- 永遠に続かない幸せに対するむなしさ
上記のような源氏の思いがこめられています。
源氏の複雑な気持ちが分かる、切ない和歌です。
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②もの思ふに 立ち舞ふべくもあらぬ身の 袖うち振りし 心知りきや
「紅葉賀」の段で、源氏が宴で藤壺に詠んだ和歌です。
すでに源氏の子どもを身ごもっていた藤壺は、秘密を守ろうと、源氏につれない態度をとります。
そんな中、宴で舞を舞うことになった源氏は、御簾の奥で見ていた藤壺に熱い視線を送りました。
- つれない藤壺に対する恋心
- 「袖を振る」というのは、当時の愛情表現で、源氏の舞は藤壺に向けたもの
以上のようなことが分かります。
直接言わずに、「察してくれ」と懇願するところがいじらしいですね。
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③面影は 身をも離れず山桜 心の限りとめて来しかど 夜の間の風もうらめたくなむ
「若紫」の段で、源氏が若紫にあてて詠んだ和歌です。
若紫を一目見て、引き取りたいと願う源氏ですが、後見人の尼君に断られます。
京に戻っても諦めきれず、尼君と若紫に手紙を出します。
山桜を若紫にたとえて、夜風に吹かれる(誰かに奪われる)ことを心配しています。
源氏らしい風流な比喩ですね。
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源氏物語【第一部:源氏1~39才まで】詳しい解説(結末ネタバレあり)
ここからは、「源氏物語」の物語の内容についてさらに詳しく紹介しましょう(一部ネタバレを含みますので注意してください)
とても長い源氏物語も、ここさえおさえておけばメインストーリーの流れが分かりますよ。
第一部では、源氏の誕生から初恋の女性の死までを描きます。
桐壺:源氏の誕生と義母の入内 (源氏1~12才)
桐壺帝は身分の低い桐壺更衣を寵愛し、更衣は皇子を産みます。
しかし、更衣は女官たちからの嫉妬やいじめに耐えられず、皇子が3才の時に病死してまいました。
悲しんだ帝は、更衣にそっくりな藤壺を新たな妻に迎えます。
皇子は、亡き母に似ているという藤壺を慕うようになります。
12才になった皇子は元服し、「源氏」の姓を与えられて臣下の籍に入りました。
その夜、左大臣の娘で4才年上の葵と結婚します。
皇子は、その光り輝く美貌から、いつからか「光源氏」と呼ばれるようになっていきます。
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若紫:若紫との出会いと藤壺の妊娠 (源氏18才)
病気の療養のため、京都北山の寺に出かけた源氏は、藤壺によく似た少女と出会います。
少女は藤壺の姪にあたり、藤壺に恋心を抱いていた源氏は、少女を引き取って育てたいと思いました。
その年の冬、少女の後見人だった尼君が亡くなり、源氏は少女を引き取ります。
この少女が後の紫の上です。
一方、病気で地元に帰っていた藤壺は、源氏と密会し、直後に妊娠が発覚します。
葵:車争いと葵の死 (源氏22~23才)
桐壺帝が退位し、源氏の義兄・朱雀帝が即位しました。
賀茂祭の日、葵の上と六条御息所は見物に出かけます。
道が混んでおり、車を止める場所をめぐって2人は争いになります。
勝利したのは、葵の上でした。
それを恨んだ六条御息所は、生霊となって葵の上を苦しめます。
妊娠していた葵の上は、息子・夕霧を産むと、亡くなってしまいました。
悲しみにくれる源氏は、自身を慰めようと若紫をかわいがり、新枕を交わします。
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明石:明石の君と源氏の帰京 (源氏28~29才)
朱雀帝の妻になる予定の女性・朧月夜と関係してしまった源氏は、罪を着せられる前に逃れようと、須磨へ向かいます。
ですが、夢に桐壺帝が現われ、須磨を離れるように指示されました。
忠告に従い、明石へ行った源氏は、現地の娘・明石の君と契ります。
一方、身内の不幸が続いて気弱になっていた朱雀帝は、源氏を呼び戻すことを決意しました。
源氏は、懐妊した明石の君を残し、都へ戻ります。
薄雲:明石の姫君の入内、冷泉帝が真実を知る (源氏32~33才)
明石の君の娘・明石の姫君は、将来のことを考え、源氏に引き取られました。
紫の上の養女とされた明石の姫君は、後に朱雀帝の息子・今上帝の妻となります。
翌年、藤壺が重い病気になり、死去しました。
その法要が終わった後、源氏と藤壺の不義の子で、表向きは桐壺帝の子どもである冷泉帝が自分の出生の秘密を知ります。
冷泉帝は、実父が臣下であるのは申し訳ないと、源氏に皇位を渡そうとしました。
しかし、源氏はそれを拒否し、秘密を守り通そうとします。
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源氏物語【第二部:源氏39~52才まで】詳しい解説(結末ネタバレあり)
第二部は、源氏が新たな正妻を迎えるところから、彼の死までを描きます。
若菜 上:源氏の新たな結婚と柏木の恋 (源氏39~41才)
朱雀院が出家するにあたり、娘・女三宮を源氏に嫁がせます。
源氏にとって、葵の上に次ぐ第2の正妻でした。
源氏は、約20才ほどの年齢差がある女三宮に愛情を感じることができません。
その年の秋、源氏が後見している明石の姫君が東宮(次期帝)の子どもを出産し、源氏の権勢は絶頂になります。
ある日、六条院で蹴鞠の遊びが催されました。
頭中将の息子・柏木は、あるハプニングで御簾の向こうにいた女三宮の顔を見てしまいます。
それ以降、柏木は女三宮に想いを寄せます。
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若菜 下:紫の上の病気、柏木と女三宮の密通 (源氏41~47才)
冷泉帝が退位し、新たな帝の世になりました。
紫の上が病に倒れ、源氏は必死で看病します。
一方、紫の上につきっきりになった源氏に放っておかれていた女三宮の元に、柏木が忍びこんで想いを伝えました。
柏木の子どもを懐妊してしまった女三宮を見舞った源氏は、偶然、柏木の恋文を見つけ、悩みます。
源氏に遠回しに皮肉を言われた柏木は、良心の呵責を感じ、病気になってしまいます。
御法:紫の上の死 (源氏51才)
病がちな紫の上は自分の死期を悟り、出家を願いますが、源氏はそれを許しません。
その年の秋、紫の上は明石の姫君と源氏に看取られながら、息を引き取りました。
世間体を気にして出家をこらえる源氏ですが、悲しみの日々を過ごしていきます。
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「源氏物語」の見どころは?
「源氏物語」には、さまざまな魅力があります。
その中から3点にしぼって、紹介します。
平安貴族の文化を詳しく知ることができる
宮中が舞台なだけあって、宴や遊びなどのシーンが多く登場します。
当時の「結婚」や男女間の逢瀬の作法も知ることができます。
平安文化や貴族文化などを知りたい方は、物語を楽しみながら勉強できますよ!
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「ツンデレ」「ヤンデレ」など、現代の言葉にあてはめられるさまざまなタイプの魅力的なヒロインたち
源氏が愛した女性たちは、さまざまなタイプがいました。
幼女から自分好みの女性に育てた紫の上、初恋で義母な藤壺、ツンデレお嬢さまの葵の上、ヤンデレ未亡人な六条御息所、40才年上の老女・源典待、不美人な才女・末摘花、寝取られロリ属性の女三宮など。
源氏の好みの範囲が広いことがよく分かります。
堅苦しいものが苦手でも、こうやって当てはめてみると読みやすくなるのではないでしょうか。
聖地巡礼したくなる!美しい風景・場所
主に宮廷が舞台ですが、療養や遊びに出かけた時など、京都のさまざまな場所が出てきます。
美しい描写に惹かれて、物語を読んだ後は京都に行きたくなること間違いなし。
現地を訪れて、「ここで源氏がこういうことをしたのか」なんて想像するのも楽しいかも?
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まとめ
今回は、「源氏物語」のあらすじについて簡単にまとめてみました。
源氏の波乱万丈な一生に注目して読んでみてくださいね。
「源氏物語」に興味がある方は、ぜひ参考にしてください!
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