この記事では、「野原をうたう」という詩の作品内容と表現技法をふまえた指導案の作成ポイントについて解説します。
テストの予想問題も載せていますので、生徒の皆さんにはテスト対策にも使っていただける内容になっていますので、参考にしてみてください。
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野原はうたう:詩の作品内容と味わい方と指導案
「野原はうたう」は詩を題材にした教材です。
この作品に限らず「詩を読んでも、どのように味わったらよいのかよく分からない…」という人もいらっしゃるでしょう。
以下では、詩の作品内容やおもしろさを味わうには、どんなところに注目したらよいかを解説します。
詩の内容の面白さはどこにある?
この作品内容の面白さに踏み込んでみましょう。
作者がこの詩を作るときに、どんな光景を目にし、どんなことを感じたのか、そしてそれをどのように詩に表しているのかを考えながら読んでみるのがポイントです。
4つの詩は、それぞれ、「たんぽぽ」「かまきり」「のぎく」「けやき」が作った詩という形になっています。
作者の工藤直子さんが野原で出会って感銘を受けた光景を、まさに対象を主人公として、彼らが語る言葉として詩にしているのです。
もし自分が「たんぽぽ」だったら、「かまきり」だったらなど、それぞれの生き物だったらどう感じるかを一緒に想像してみましょう。
リズムと繰り返しに着目する
詩は内容もさることながら、読んで気持ちよく感じられることが大切です。
声に出して読んで、それぞれの詩のリズムを感じてみましょう。
詩のリズムを生み出す手法に「繰り返し」があります。
この詩の場合、繰り返しに当たるのは、例えば「あしたこそ」には「くっつけて」(2行目)「ゆめにみて」(4行目)と、「~て」で終わる部分ですね。
「おれはかまきり」でも、語尾の「~ぜ」が繰り返されています。
このように語尾をそろえるなどしてリズム感をよくすることを「韻を踏む(いんをふむ)」といった言い方をします。
韻(いん)が踏まれていると、読み上げたときにテンポの良さを感じることができるのです。
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野原はうたう:使われている表現技法の解説
詩にはさまざまな表現技法があります。
「野原はうたう」に使われている表現技法を学ぶと、なぜこの詩を読むと気持ちよいのか、なぜおもしろく感じるのかをより深く理解することがでるでしょう。
この表現技法の解説を読んだ上で、もう一度音読してみてください。
「野原はうたう」に使われている技法はこの2つです。
- ①擬人法
- ②倒置法
以下、順番に説明させていただきます。
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「野原はうたう」の表現技法①:擬人法
擬人法とは、人ではないものを、人であるかのように表す方法です。
この「野原はうたう」は「たんぽぽ」「かまきり」「のぎく」「けやき」が語る言葉として書かれていますから、全編を通して擬人法が使われていると言えるでしょう。
擬人法が使われることで、それぞれの生き物たちに親近感がわきやすくなりませんか?
普段外から眺めるだけの生き物たちに、生き物たち自身の視点を加えることで、より作品の楽しさが増していきます。
「野原はうたう」の表現技法②:倒置法
「あしたこそ」の2連目を見てみましょう。
- とんでいこう どこまでも
- あした
- たくさんの『こんにちは』に
- であうために
この部分は、普通の文にすれば、「あした/たくさんの『こんにちは』に/であうために/どこまでも/とんでいこう」となるはずです。
ここでは、「とんでいこう」という言葉が最初に出てくることで、たんぽぽの未来に向かおうとする気持ちが強調されていることになります。
このように、文の中の言葉の順番をあえて入れ替えて強調する技法を「倒置法」と呼びます。
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野原はうたう:テスト問題対策
「野原をうたう」からの出題が考えられるテスト問題についてみていきましょう。
次のような問題が考えられます。
- ①音読の工夫について
- ②繰り返しが使われている詩について
- ③「あきのひ」で作者が見ている光景について
- ④「けやきだいさく」の性格について
- ⑤倒置が使われている作品について
以下、それぞれのテスト問題例と解答、注意点について解説いたします。
テスト問題例①:音読の工夫について
「未来への希望に胸をふくらませるような気持ちで、明るく元気な声で読む」
解答例と解説
「あしたこそ」
未来への希望を感じさせる詩は、「あしたこそ」です。
「はなひらく ひを/ゆめにみて」とあるように、いつか花が咲く未来に対して希望を抱いている様子が書かれています。
また「たくさんの『こんにちは』に/であうため」も、未来の出会いについて希望をもっているように感じることができます。
さらにこの部分は「倒置法」により強調されています。
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テスト問題例②:繰り返しが使われている詩について
解答例と解説
「おれはかまきり」
詩の段落にあたるものを「連」ということも押さえておきましょう。
詩の中で一行空いている部分が目印です。
2連からなる詩は、「あしたこそ」と「おれはかまきり」の2つしかありません。
詩の構成は、それぞれの部分の文字数や語尾の響きなどに注意して確認していきましょう。
上の2つの詩を比べると、1連目と2連目が同じ構成になっているのは、「おれはかまきり」です。
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テスト問題例③:「あきのひ」で作者が見ている光景について
解答例と解説
のぎくの花びらが風に揺れて、その背後に夕日が沈んでいる光景。
詩の語り手とされているのぎく、そして詩の中に出てくる、風、花びら、夕日がキーワードです。
「ふりかえると」とあるので、夕日が沈んでいるのはのぎくの背後であることが分かります。
テスト問題例④:「けやきだいさく」の性格について
解答例と解説
優しくて落ち着きのあるお年寄り
たくさんの「ことりたち」を大事にしていることから、優しい性格であることは読み取れると思います。
「~である」という言葉の結び方や「わし」という呼び方は、落ち着きのあるお年寄りを想像させるでしょう。
最後の「いつまでも いきていて よいのである」から、これまでも長く生きてきたけやきのイメージが膨らみます。
テスト問題例⑤:倒置法が使われている作品について
解答例と解説
とんでいこう どこまでも
あした
たくさんの「こんにちは」に
であうために
「使われている表現技法の解説」でも述べていますが、この部分は、普通の文にすれば、「あした/たくさんの『こんにちは』に/であうために/どこまでも/とんでいこう」となるはずです。
「とんでいこう」という言葉を最初に持ってくることで、未来に向かおうとするたんぽぽの気持ちが力強く感じられるようになります。
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