この記事では、中学国語で勉強する「生物が記録する科学 バイオロギングの可能性」について、内容の要約まとめと指導案の作成ポイントを解説します。
テスト問題の解答例も掲載していますので、テスト対策を行っている生徒の皆さんも参考にしてみてくださいね。
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「生物が記録する科学 バイオロギングの可能性」要約まとめ
エンペラーペンギンは、非常に高い潜水能力を持ちながらも、餌が浅い所にいる場合は無理をせず、短い潜水を繰り返していることが分かったのである。
また、アデリーペンギンを調査したところ、水中では群れで別々に行動しているにもかかわらず、潜水の開始と終了だけを一致させていることが分かった。
これは、捕食者から身を守るための工夫と考えられる。
著者は、「バイオロギングによって、さまざまな環境で生きる動物たちのデータが集められることで、私たちの思考の範囲は大きく広がるはずだ」と主張している。
要約のポイント
「生物が記録する科学 バイオロギングの可能性」の文章全体は、①序論・②本論・③結論に分けられます。
①序論はバイオロギングの説明。
②本論は大きく二つに分けられ、エンペラーペンギンの例とアデリーペンギンの例が述べられます。
最後が③結論です。
上記の要約例では、それぞれの部分についてなるべく本文中の言葉を用いて要約していますので、参考にしてみて下さい。
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「生物が記録する科学 バイオロギングの可能性」テスト問題例と解説
テスト問題として、次のようなものが考えられます。
- ①バイオロギングについて
- ②エンペラーペンギンの餌捕り潜水について(1)
- ③エンペラーペンギンの餌捕り潜水について(2)
- ④アデリーペンギンの餌捕り潜水について
- ⑤バイオロギングの可能性について
以下、それぞれのテスト問題の解答について解説いたします。
テスト問題例①:バイオロギングについて
解答例と解説
調べる側の人間ではなく、調べられる側の動物自身がデータを集めるのだ。
解答の文のすぐ後に、「この調査方法~」とあるので、解答の文とバイオロギングがイコールであることが分かります。
テスト問題例②:エンペラーペンギンの餌捕り潜水について(1)
それはどのような点でしょうか。
解答例と解説
浅い潜水で餌を捕ることが可能な場合、、わざわざ深くは潜らない点
自然のままの状況ではもっと深く潜るのではないかと予想を立てていましたが、そうではありませんでした。
常に能力を最大限に発揮するのではなく、餌捕りの効率を重視することが分かったのです。
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テスト問題例③:エンペラーペンギンの餌捕り潜水について(2)
解答例と解説
同じ餌を巡るライバルが多い状況では、浅い所にいる餌はすぐに捕り尽くされてしまうから
第11段落の最後に述べられています。
浅く短い潜水を繰り返す理由と、時々深く長時間潜る理由との両方が解明されて初めて、調査の結果を説明できることになります。
テスト問題例④:アデリーペンギンの餌捕り潜水について
解答例と解説
潜水の開始と終了を一致させている理由:捕食者から身を守るため
水中で別々の行動を取っている理由:同じような深さで餌捕りをすれば競争が激しくなるから
第15段落で潜水の開始と終了を一致させている理由が述べられ、その前の第14段落では水中で別々の行動を取っている理由が考察されています。
テスト問題例⑤:バイオロギングの可能性について
解答例と解説
私たちは、自分が見たり、経験したりできる範囲だけで考えて、彼らを分かったつもりになっていないだろうか。
「わかったつもり」とは、思考の範囲が固定されてしまっていることを意味します。
「自分が見たり、経験したりできる範囲」を超えたデータを与えてくれるのが、バイオロギングであることを筆者は主張しているのです。
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「生物が記録する科学 バイオロギングの可能性」指導案の作成ポイント
指導案作成の助けになるよう、各段落のポイントをまとめてみます。
第1段落のポイント
導入として、海の中に潜って捕ってきた魚やオキアミをお腹に入れてひなに運ぶエンペラーペンギンの様子が描かれています。
第2段落のポイント
ペンギンがどのように海の中に潜り餌を捕っているのか、という問題提起がなされています。
第3段落のポイント
ペンギンだけでなく、他の水生動物の観察も難しいことが述べられます。
第4段落
バイオロギングと呼ばれる調査方法が詳しく説明されています。
ここまでが「序論(話題提示)」です。
第5段落
実際の調査の前段階として、エンペラーペンギンの最大潜水深度など、過去の記録が紹介されています。
第6段落
氷に開けた穴からエンペラーペンギンを放して得られたデータでは、過去の記録ほど深く潜っていませんでした。
第7段落
第6段落のような結果になった原因が解明されます。
「浅く潜ってその目的(餌を捕らえること)が果たせるならば、わざわざ百メートル以上も潜る必要はない」
第8段落
自然のままの状況ではもっと深く潜るかもしれない、という仮説を立てて調査を行ったことが述べられます。
第9段落
自然のままの状況の調査の前提として、まずペンギンの潜水時の習性が説明されます。
第10段落
調査の結果が図を用いて説明されます。
「最大能力に比べて、浅く、短い潜水ばかり行う」ことが分かりました。
第11段落
第10段落の理由を解明するために、潜水後のペンギンの様子に着目した結果が述べられます。
「餌捕り潜水に費やす合計時間を増やしたければ、短い潜水を数多く繰り返したほうが効率は良い」
第12段落
第11段落を受けて、エンペラーペンギンの調査で分かったことがまとめられています。
「野生動物にとっては常に能力を最大限に発揮することではなく、効率良く餌を捕ることが重要」
第13段落
話題は変わり、ここから、アデリーペンギンの行動について述べられます。
アデリーペンギンが、一斉に飛びこみ、いっしょに水中から上がってくるところから、水中でもいっしょに餌を捕っているのかという疑問を提示しています。
第14段落
深度記録計から、水中では別々に行動し、潜水の開始と終了だけを一致させていることが分かりました。
第15段落
観察の結果、第14段落で示された疑問の理由は、潜水開始と終了を一致させることで、捕食者から身を守っていることが分かりました。
第16段落
アデリーペンギンの行動を通して、野生のペンギンが「生き残りをかけ、さまざまな工夫をこらしている」ことが分かりました。
ここまでが「本論(具体的な説明)」となります。本論は、エンペラーペンギンについて述べられた第5段落から第12段落と、アデリーペンギンについて述べられた第13段落から第16段落に分けられます。
第17段落
バイオロギングによってさまざまな環境で生きる動物たちのデータが集められていることが述べられます。
第18段落
動物からもたらされるデータが私たちの思考の範囲を広げてくれるはずだという筆者の思いで全体が結ばれています。
最後の2段落が「結論(まとめ)」です。
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