この記事では、中学国語の教材「幻の魚は生きていた」を読む時のポイントを説明します。
何が原因でどのような結果が起きたのかという因果関係を整理し、何と何を比べて何が分かったのか?といった読解力を身につけるのがポイントです。
指導案を考えている先生方、テスト問題の対策をする必要がある生徒の皆さんは、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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幻の魚は生きていた:要約やあらすじの書き方
タイトルの「幻の魚」とは、「絶滅したはずの魚」という意味で、具体的には田沢湖に生息していたクニマスを指します。
「幻の魚は生きていた」では、次のような内容を押さえましょう。
「幻の魚は生きていた」要約やあらすじの作成時のポイント
- ①絶滅したはずのクニマスが生きていたという事実
- ②なぜクニマスが田沢湖で絶滅したのか
- ③どのようにしてクニマスが発見されたのか
- ④なぜクニマスが生きていたのか
- ⑤これからに向けての提言
これらの内容を盛り込んで作成すれば、わかりやすい要約が自然にできあがりますよ。
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幻の魚は生きていた:あらすじと要約文の例
上で説明させていただいたあらすじ要約の作成ポイントを押さえて、実際に要約文の例文を作成してみました。
2種類の要約文を例として挙げますので、参考にしてみてくださいね。
あらすじ要約①
世界中で秋田県の田沢湖だけに生息していたクニマスは、1940年頃姿を消したが、70年後、山梨県の西湖で発見された。クニマスは田沢湖周辺の人々の生活や文化に根ざした大切な存在だったが、農業用水にするために近くの玉川の酸性の水が田沢湖に引き入れられたことにより、田沢湖から姿を消した。
やがて、クニマスの卵が絶滅前に譲渡された記録が見つかったことをきっかけに、クニマス探しの運動が始まった。
2010年、西湖で捕れた黒いマスを調べてみると、クニマスしか持っていない特徴を持っていることが確認された。
田沢湖と西湖は、水深は違っていたが、水温がほぼ等しく、クニマスが産卵して生存できる条件を備えていたのだ。
クニマスが生き続けるようにするには、湖全体の環境を守り、人と生き物とがつながり合った関係を維持することが大切である。
田沢湖の水はまだ酸性でありクニマスの里帰りは容易ではないが、田沢湖への復帰が願われている。
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あらすじ要約②
秋田県の田沢湖だけに生息していたクニマスは、周辺の人々の生活や文化に根ざした大切な存在だったが、人の手による環境の改変により田沢湖から姿を消した。やがて、クニマスの卵が絶滅前に譲渡された記録から、クニマス探しの運動が始まった。
2010年、山梨県の西湖にクニマスが生息していることが確認された。
田沢湖と西湖は水温がほぼ等しく、クニマスが産卵して生存できる条件を備えていたのだ。
クニマスが生き続けるようにするには、湖全体の環境を守り、人と生き物とがつながり合った関係を維持することが大切である。
田沢湖の水はまだ酸性であり、クニマスの里帰りは容易ではないが、再びクニマスを田沢湖で見られる日が願われている。
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幻の魚は生きていた:テスト問題例と解説
中学国語で勉強する「幻の魚は生きていた」について、テスト問題もしっかりと準備をしておきましょう。
「幻の魚は生きていた」からは、次のようなテスト問題の出題が考えられます。
「幻の魚は生きていた」テスト問題の例
- ①田沢湖でクニマスが絶滅した理由についての問題
- ②西湖で捕れた黒いマスの特徴についての問題
- ③田沢湖と西湖の比較についての問題
- ④人と生き物との関係についての問題
- ⑤人と環境に関する一般論についての問題
以下、それぞれの問題について、解答と考え方のポイントを具体的に解説させていただきます。
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テスト問題例①:田沢湖でクニマスが絶滅した理由についての問題
解答例と解説
人の手による環境の改変
玉川の水が田沢湖に引き入れられたのは、人々の生活のためにやむをえなかったということも、押さえておきたいポイントです。
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テスト問題例②:西湖で捕れた黒いマスの特徴についての問題
解答例と解説
ヒメマスの産卵期は秋だが、黒いマスは三月に産卵期の状態を示していた。
ヒメマスは水深二メートルから十五メートルのところで産卵するが、黒いマスは水深三十メートルから四十メートルの湖底にいた。
本文中にある対比の構造をまとめる問題です。
「産卵期」と「産卵場所」で表にすることもできますが、解答例のように文章でまとめてみるのもよい練習になると思います。
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テスト問題例③:田沢湖と西湖の比較についての問題
解答例と解説
相違点:水深
共通点:水温
こちらは簡潔にまとめることができます。
水深が違うのにどうしてクニマスが命をつなぐことができたのか。
その理由を調べてみると、水温という共通点があることが発見されました。
「なぜ?」という問いを立てて答えを見つけるという、極めて科学的な姿勢が短い文章の中に現れています。
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テスト問題例④:人と生き物との関係についての問題
解答例と解説
第4段落
田沢湖周辺の人々は、決してクニマスを捕っていなかったのではありません。
「捕りすぎないように節度を守っていた」ということがポイントです。
また、「人々の生活や文化に根ざした大切な存在だった」というのも、「人と生き物がつながり合った関係」を意味しています。
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テスト問題例⑤:人と環境に関する一般論についての問題
解答例と解説
環境を変えてしまうのは一瞬。
だが、それを元にもどすには、気の遠くなるような時間と労力が必要である。
全文の中で、唯一、一般に通じることが述べられているといってもいい部分です。
逆にいえば、この2文の内容の具体例を述べたのが文章全体といってもいいと思います。
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幻の魚は生きていた:指導案作成のポイント
ここからは、指導案を作成する必要がある先生方向けに、「幻の魚は生きていた」各段落ごとのポイントを挙げておきます。
第1段落のポイント
「絶滅したはずのクニマスが生きていた。」
これはタイトルの言い換えです。
第2段落のポイント
第1段落の内容を詳しく説明しています。
どこで絶滅したと思われていた魚が、どこで生きていたのか、正しく把握しましょう。
第3段落のポイント
この段落では、次の2つの問題提起がなされていることに注目しましょう。
- ①「クニマスはなぜ田沢湖で絶滅したのか」
- ②「絶滅したと思われていたクニマスがなぜ西湖で生きていたのか」
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第4段落のポイント
田沢湖周辺の人々にとってクニマスがどのような存在だったかが述べられています。
「生活や文化に根ざした大切な存在だったのだ」
第5段落のポイント
田沢湖南一帯で農業用水の確保が困難だったことが述べられています。
次の段落で述べられる絶滅の理由の前提となる状況説明です。
第6段落のポイント
酸性の玉川の水を田沢湖に引き入れることとなった経緯が述べられています。
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第7段落のポイント
その結果として、クニマスが田沢湖から姿を消し、文化も同時に消えていきました。
ここまでが、第3段落の問題提起①に関する内容です。
第8段落のポイント
ここから、クニマスが西湖で見つかった経緯について述べることを明示しています。
第9段落のポイント
卵が譲渡された記録の発見から、クニマス探しの運動が起こった経緯が述べられています。
第10段落のポイント
「新たな展開」として、西湖で発見された黒いマスがクニマスではないか、という調査が始まったことが述べられます。
第11段落のポイント
黒いマスとヒメマスの産卵時期、産卵場所の違いについて書かれています。
第12段落のポイント
クニマスの産卵時期、産卵場所と比較して、この黒いマスがクニマスである可能性が高いことが述べられます。
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第13段落のポイント
これまでの内容では証拠不十分であるとして、黒いマスがクニマスだけの特徴を持っていることを確認したことが述べられています。
第14段落のポイント
田沢湖と水深の違う西湖でクニマスが生存していた理由の考察です。ポイントは水温でした。
ここまでが、第3段落での問題提起②に関する内容です。
第15段落のポイント
西湖でのクニマスを守っていくにはどうすればよいかという提案がなされます。
「人と生き物とがつながり合った関係を維持すること」
第16段落のポイント
田沢湖でクニマスの復帰が願われていることが述べられます。
第17段落のポイント
田沢湖へのクニマスの「里帰り」が容易ではないことが述べられた上で、「少しずつ歩いていかなければならない」という提言で結ばれます。
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