この記事では、向田邦子「字のない葉書」の指導案やテスト問題について解説させていただきます。
教師の方は指導案作成の参考にしてみてください。
生徒のみなさんは「どういった問題が出るのか」の予想と、テスト解答の糸口を見つけることに役に立つと思いますので、参考にしてみてください。
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字のない葉書:テスト問題例と解説
字のない葉書のテスト問題として考えられるものとしては、以下のようなものがあります。
「字のない葉書」テスト問題例
- ①表書きを見たときの筆者の心情について
- ②訓戒という言葉の意味について
- ③下の妹マルについて
- ④下の妹の姉に対する気持ちについて
- ⑤疎開先での父の心情について
総特集 向田邦子 脚本家と作家の間で 文藝別冊 【ムック】
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以下、それぞれのテスト問題の解答と、指導の際に伝えるべき内容について解説させていただきます。
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テスト問題例①:表書きを見たときの筆者の心情について
解答例と解説
「普段は筆者を呼び捨てにし、罵声やげんこつが当たり前の父から想像がつかなかったから」
指導者は、ここでの「ひどくびっくりした」を封切りに、父親の普段の様子と、内面の様子、親の深い愛を生徒に伝えていくことができます。
テストのテクニックとしての指導は、このように、行動から気持ちを読み取ることが、小説を読むうえで重要と伝えます。
生徒は、「父の日常をふまえて」に注目します。
この問題は筆者が、もっと言えば人間が驚くには理由があります。
その理由は、普段の父との「ギャップ」があったからなので、問題文にあるように、日常を書いてから、最後に「想像がつかなかったから」としめます。
このように「~をふまえて」と書いてあったら、その部分は必ず書くということがわかると、解答しやすくなります。
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テスト問題例②:訓戒という言葉の意味について
解答例と解説
「物事の良し悪しや善悪を教え、さとすこと」
指導者は、国語の授業を通じて、生徒の語彙力の向上に努めます。
訓戒の他にも「こそばゆい」「晴れがましい」「威厳と愛情にあふれた」など、形容する言葉も豊富なので、生徒が自身の感情や情報により適した言葉が使えるよう指導します。
いきなり解答例は難しいので、洗濯問題にして出題するとよいです。
生徒は、知らない言葉だと思っても身構える必要はないです。
おおむね難しい言葉の前後にヒントがあります。
今回の場合、「貴女の学力では難しい漢字もあるが、勉強になるからまめに字引を引くように。」という訓戒とあるので、かっこ書きの部分は全てヒントになります。
離れた娘に書いている点や「勉強になるから」という点から、「厳しさと優しさのあるもの」と考えると正答に近づけます。
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テスト問題例③:下の妹マルについて
解答例と解説
「ところが、次の日からマルは急激に小さくなっていった。」
指導者は、物語の変化の部分に注目させる習慣を生徒に日頃から意識させておきます。
変化のない物語はなく、その変化は入学試験等でも出題されやすいからです。
ましては今回は戦時中の話でもあるので、戦争の進行具合とその当時の人々の様子を、作品を通じて伝えるとよいです。
生徒は、問題文を見る際に、「聞き方」は絶対見る必要があります。
今回の場合、抜き出し→句読点含み、一語一句そのまま書く。
一文→句点から句点まで。
そういった解答時のルールに気を付け、余分なところを書かないようにします。
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テスト問題例④:下の妹の姉に対する気持ちについて
解答例と解説
「姉にみっともない姿を見られ、心配をかけたくないと思ったから。」
指導者は、テスト問題例①と同様に、行動と気持ちを結びつかせる必要があります。
そのためには、この問題に入る前に、家族の温かい感情を十分に伝えます。
どんな思いで名札を付けたりはがきを渡したりしたか…。
その上で、家族にみっともない姿を見られて「恥ずかしい」だけではないことを生徒に伝えるようにします。
生徒は、表面的な答えにしないように気を付けます。
下の妹は、ただたんに姿を見られて恥ずかしいではなく、その自分の姿から自分だけでなく、姉に家族に余計な気持ちを抱かせたくないというのもあります。
この問題に限らず、一般的な反応だけでなく、登場人物の境遇や環境ならでは感情があるとして、安直に答えを出さないようにします。
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テスト問題例⑤:疎開先での父の心情について
解答例と解説
「疎開先でひもじい思いをしている妹に、少しでも元気になってほしいから。」
指導者は、「この日」が家族にとってどういう日かを生徒に考えさせます。
ただ妹が帰ってくるだけでなく、妹の状態を思う家族がどのような気持ちになるのかを考えます。
そのうえで、「この日」だけは収穫が許されたことからも、親の愛情を考えさせます。
生徒は、この物語が一貫して愛情は行動からあふれ出ていることに注目してほしいです。
普段の父親は暴君な一面もあるのかもしれないが、無意味な行動はしていないです。
「元気な日にはマルを」と、はがきを渡した父の一番の願いを考えます。
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字のない葉書:感想文の書き方ポイント
字のない葉書についての感想文を書くときには、以下のようなポイントに注意しましょう。
「字のない葉書」の感想文を書くときのポイント
- 家族、特に父親の深い愛情について書きましょう
- 登場人物の心の内面に注目して書きましょう
- 自分自身の身内と連動し、違いや共通する部分を書きましょう
以下、参考までに感想文の作成例を紹介します。
感想文の例文
私は「字のない葉書」を読んで、自分の両親の愛情表現と比べてみました。
私の母親は教育の仕事をしていたので、しつけや愛情を十分に感じています。
そのような母だからこそ、本気で怒ってくれた時は、今でこそ感謝しています。
父親は、この物語の父親にも通ずるものがあります。
殴りはしないものの、照れ性で、温かい気持ちはさりげなく示すような父親です。
私が落ち込んでいる時に、特別気の利いた言葉をかけることはありません。
しかし、ゆっくり穏やかに私のことを見て、話を聞いてということをしてくれます。
友人から見た私の父は「怖そう」という印象を抱きますが、実際はそうではないのです。
「字のない葉書」は家族の話ですが、友人や先生でも同じことが言えると思います。
相手に気持ちを伝える手段として、自身の行動を振り返り、考えて過ごしたいと思いました。
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