財産を持っていた人が亡くなった時には、その人の相続人になる親族がそれらの財産を引き継ぐことになります。
財産は現預金や宝石のようなかたちで残されることも多いですが、日本の遺産相続で問題となるケースが多いのが、遺産に不動産(土地や建物のこと)が多く含まれているケースです。
というのも、不動産は分割をするのがとても難しい種類の財産ですから、相続人が複数人いる場合に「誰がどの不動産を相続するのか」をめぐってトラブルが生じやすいのです。
この記事では、遺産に不動産がある場合に相続トラブルが生じないようにするためのポイントを解説します。
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不動産の相続手続き:基本的な流れ
これは不動産の相続手続きに限らずですが、相続が発生したら次のような流れで手続きを進めていく必要があります。
相続手続きの大まかな流れ
- ①どんな遺産があるのか?の調査と確定
- ②誰が相続人となるのか?の調査と確定
- ③誰がどの遺産を相続するのか?の決定(遺産分割協議)
- ④名義変更の手続き
- ⑤相続税の申告と納税
以下、それぞれの内容について簡単に見ておきましょう。
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まずは遺産の内容と相続人を確定する(①と②)
まずはどの遺産について、だれが当事者になるのか?をはっきりさせないといけませんから、①と②で遺産の調査と相続人の調査を行います。
その際、相続人の中の一人が財産を隠すようなことがあってはなりませんから、相続人全員が共同で弁護士などの専門家に依頼するといった形をとることが多いです。
相続人となるのは法律上親族となっている人ですが、もし遺言書で親族以外の人が相続人に指定されている場合には、その人も相続人に含めなくてはなりません。
遺言書は「どこにどれだけの財産が残されているか?」を知る上でも非常に重要な情報になりますから、生前のうちに保管場所などを聞いておくのが望ましいでしょう。
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誰がどの遺産を相続するのか?を決め、名義変更を行う(③と④)
遺産の内容と相続人が確定したら、今度は「誰がどの遺産を引き継ぐのか」を決めます。
このとき、遺言書がある場合にはその内容通りに決める必要があります。
後でも説明しますが、遺言書には法律よりも強い効力が与えられていますから、まずは遺言書の内容を最優先に確認するようにしましょう。
遺言がない場合や、遺言では相続人が定められていない財産がある場合には、相続人どうしの話し合い(遺産分割協議)で所有者を決めます。
遺産分割協議でもトラブルが生じる可能性がありますから、弁護士などの専門家に間に入ってもらいながら話し合いを進めていくのが望ましいです。
遺言書または遺産分割協議によって財産の相続人が決まったら、今度は名義変更の手続きを進めていきます。
現預金などの遺産は金融機関で口座振替の手続きを行い、不動産などの遺産は法務局で名義変更(登記)の手続きを行うことになります。
その際、遺言書や遺産分割協議書は手続きを進めるために必ず必要になりますから、大切に保管しておくようにしてください。
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相続税の申告と納税を行う(⑤)
遺産の金額が一定額を超える場合(目安としては3600万円です)には、相続税という税金を計算して納税する必要があります。
相続税の納税期限は相続発生から10か月ですから、この期限が来るまでに遺産分割協議は完了しておくのが望ましいです(遺産分割協議が完了していないと、適用してもらえない税軽減措置などもあります)
遺産に不動産がある場合の相続税申告は複雑になりますから、税理士などの専門家の支援を受けるようにしましょう。
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不動産の相続手続きでトラブルを避けるためのポイント
次に、不動産の相続手続きでトラブルが発生しないようにするためのポイントについてみていきましょう。
結論から言うと、遺産相続に関するトラブルを回避するためにもっともよい方法は、生前にできるだけ具体的な形で遺言書を残しておいてもらうことです。
例えば、「長男には不動産を与える代わりに、次男には会社の経営権(株式)を与える」とか、「長男が不動産を相続するが、その代償として次男に対して現金~円をこの日までに支払うように」といったように具体的な遺産分割の仕方を定めておくのが良いでしょう。
遺言が適切な形で残されていれば、遺産分割協議などを行う必要はありませんから、遺産めぐってトラブルが生じる可能性を最小限に抑えることが可能になります。
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遺言に強い効力が認められている理由
日本の法律では、法律の内容と遺言書の内容に矛盾がある場合には、遺言書の内容を最優先で遺産分割の方法を決めることができる仕組みになっています。
家族の具体的な状況については当事者が一番よく理解しているでしょうから、亡くなった人が生前に遺言で定めていた内容には法律に優先する効力が与えられているわけですね。
ただし、遺言書は法律で求められている形式にそった形になっている必要があるほか、相続発生後すみやかに家庭裁判所の検認という手続きを受けないと有効にならないので注意が必要です。
※↓遺言による遺産分割割合の決定方法については、下記のサイトの内容を参考にしてください。
遺言による相続人の指定
遺言がある場合は基本的に遺言通りの相続となり、遺言で指名された相続人は他の相続人の関与なく、単独で所有権移転の登記ができることになります。
遺言は家庭裁判所からの検認があるものでなければ有効ではないので、
この点は注意しましょう。
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遺言書がない場合は?
遺言書がない場合には、相続人全員が集まって話し合い(遺産分割協議と呼びます)を開き、全員が納得するまで話し合いをしなくてはなりません。
遺産分割協議で合意した内容は、最終的に「遺産分割協議書」という書類にまとめて、相続人全員が署名押印します。
遺産分割協議は法律の内容を参考に進めますが、法律の内容には「配偶者に2分の1・子に2分の1」というようにごくおおざっぱにしかルールが書かれていません。
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遺産分割協議がうまくいかない場合の対策
遺産がすべて現預金である場合には上のようなおおざっぱなルールだけでも遺産分割割合を決めることは可能かもしれません。
しかし、不動産などの単純に分割できない財産が遺産としてある場合にはそうはいかないというのが実情です。
お互いに利害関係がある者どうしが円満に話し合いで解決する…というのは遺産の金額が大きくなるほどうまくいかない可能性が高いでしょう。
解決策としては、相続人となる人たち全員が共同で専門家に相談し、全員に平等な立場でアドバイスをしてもらいながら遺産分割協議を進めるという方法がとられることが多いです。
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親族である相手に対してしっかりと自分の主張を伝えるには
気の置けない親族同士では自分の主張を想うように主張できないという場合にも、専門家に間に入ってもらうことでスムーズに主張をしやすくなるという側面もありますね。
遺産分割については弁護士や司法書士といった専門家に対して相談をするのが一般的ですので、検討してみると良いでしょう。
多くの専門家の事務所では、初回の相談は無料で受け付けてくれますから、相続手続きの進め方がそもそもよくわからない…という場合も相談してみることをおすすめします。
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まとめ
今回は、遺産に不動産が含まれる場合の相続手続きの進め方や、相続トラブルを避けるための方法について説明しました。
遺産が残されることは遺族にとって本来はうれしいことのはずですが、その残し方によってはその遺産をめぐって仲の良かった遺族同士がいがみあう…ということにもなりかねません。
本文でも説明しましたが、遺産が多く残されている場合にはできる限り詳細な内容の遺言書を残してもらうとともに、実際に相続が発生した後の手続きでは弁護士や税理士といった専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。
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