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学校でのいじめや職場でのハラスメントの原因の1つとして、「同調圧力」ということばが最近クローズアップされています。

同調圧力とは、ごく簡単にいうと「多数の意見にしたがうように無言の圧力がかかるような状態」のことですね。

海外生活が長い私にとって、日本に久しぶりに戻るときには同調圧力の強さを感じることが少なくありません(海外の自宅に戻ると、正直ホッとすることがあります)

この記事では、日本と海外の違いに注目して同調圧力の問題について考えてみましょう。

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同調圧力の意味とは?

同調圧力

上でも少し説明しましたが、同調圧力とは「多数派が少数派に対して、自分達に同意するように圧力をかけること」をいいます。

この圧力は明示的に(言葉で明確に表現されるなどして)行われる場合にはむしろ解決しやすい部分もあるのですが、日本の社会では「暗黙の了解」でこのような同調圧力がかけられることも多く、より解決が難しくなっているケースが少なくありません。

例えば、職場での育休取得については「みんな最低限の日数だけを取得するだけにしてがんばっているんだから、自分も(あなたも)最低限にしないと」というように圧力がかかることがあります。

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未成年のこども社会でも同調圧力が問題となる日本

こうした同調圧力の例は未成年の子供の社会でも少なからず存在しています。

例えば、日本の中学校・高校では制服の指定があるのが一般的ですが、その服装の着方ひとつとっても「みんながスカートをこの長さにしているのだから、あなたもこの長さにしなくてはいけない」といったように、組織の外からみるとややこっけいなルールが浸透してしまうことが少なくありません。

こうしたルールが、必ずしも教師などの大人による強制ではなく、仲間内の「暗黙のルール」によって生じるような場合に「同調圧力が働いている」とみることができます。

いじめの認知件数については後でくわしく見ますが、低学年ほどいじめの件数が多くなっていることにも注目する必要があるでしょう。

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同調圧力の何が問題なのか?

同調圧力

同調圧力は、一面では「ひとつの組織に属するときに当然負担するべき義務やルール」としての側面があります。

特定のルールを守ることが、その組織の一員となることの条件となっていたり、組織構成員のアイデンティティを守ることにつながっていることも少なくありません。

例えば、「謙虚であることは日本人の美徳」というように肯定的な文脈でアイデンティティが語られるような場合も、同調圧力の一種とみることができるでしょう。

一方で、戦時中の日本では「欲しがりません、勝つまでは」という価値観が道徳の基本とされて軍事優先の社会を促進したという側面があります。

ドイツで「ユダヤ人を排斥すること」が国民全体のアイデンティティとして醸成されるというところまで進んでしまったことも同調圧力の一種の表れとみることができるでしょう。

このように、同調圧力は自分が所属するグループへの所属意識を高めて幸福度を上げるという側面がある一方、グループ全体を危険な方向性に(それも自主的に)進めてしまう可能性も持っていることに問題意識を持つ必要があります。

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同調圧力の問題を、短期の視点と長期の視点で理解する

同調圧力

また、短期的な視点で見ると、むしろ同調圧力に従うことが組織全体にとってプラスになるという場合もあることに注意する必要があります。

※この事実が、同調圧力というものを肯定的にとらえる人を少なからず生み出していると考えられます。

例えば、職場のルールとして取得できる育休日数を少なくすれば少なくするほど、短期的には組織としてのパフォーマンス(会社の業績など)は向上することが期待できます。

一方で、もう少し長期の視点で見ると、同調圧力が組織に参加する全員にとってマイナスとなるケースが少なくありません。

例えば、育休取得の日数が制限されることによって、実質的にその会社を辞めざるを得ない人が出てくることが考えられますし、さらには「この会社は育休の取得がしにくい」といううわさが広がって新しい人材が参加しにくくなるという弊害も生じる可能性があります。

会社組織は人材が安定的に確保されない限りは運営していくことができませんから、長い目で見ると大きなデメリットが生じる事態が考えられるというわけです。

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なぜ、日本人だけが同調圧力に悩んでいるのか?

同調圧力

私は仕事の都合で普段はフランス、長期の休暇では日本の実家に戻る、といった生活をしていますが、フランスに比べて日本の社会では明らかに同調圧力が強いというのが実感です。

なぜ日本には、他国と比べ同調圧力が生まれやすいのか?に関しては、「伝統的に強い集団主義」「単一民族国家という国民性」の2つの原因が考えられます。

日本社会の同調圧力が他国に比べて強い原因

  • 伝統的に強い集団主義
  • 単一民族国家という国民性

以下、これら2つの同調圧力の原因について考えてみましょう。

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①伝統的に強い集団主義=「出る杭(くい)は打たれる」

日本では集団を乱さず、皆が一緒に行動する「集団主義」を重んじる教育が幼少期から徹底されています。

思い返せば、学校の行事、受験戦争、就職活動と、みんなが一斉に同じ行動を取らなければいけませんよね。

そんな私たちが当たり前のように辿ってきた進路は、周りに遅れを取らぬよう、周りと同じ動きをしなければいけないという「集団主義」を根付かせてしまうのです。

②単一民族国家という国民性

アメリカのような多民族国家と違い、日本は混血がほとんどない単一民族国家です。

そうするともちろん、人と違う容姿や、周りと違う意見を言う「マイノリティ」の人たちと触れ合う機会が圧倒的に少なくなります。

しかも日本は他国と比べ、外国人移住者が圧倒的に少ないので、海外の文化、生活、教育に日常生活で触れ合う機会があまりありません。

結果的に「周りと違う行動や発言をして、変に思われるのが怖い」という心理を生んでしまうのです。

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同調圧力によるいじめやハラスメントの例

同調圧力

このような同調圧力によるいじめやハラスメント問題は、年々深刻になっています。

2016年度には学校教育現場でのいじめ認知件数が過去最多の32万件に達し、様々な対策が本格的に取られ始めました。

学校年次別のいじめ認知件数

  • 小学校1年生:42,536
  • 小学校2年生:45,868(最大)
  • 小学校3年生:45,595
  • 小学校4年生:40,482
  • 小学校5年生:34,466
  • 小学校6年生:29,228
  • 中学校1年生:37,288
  • 中学校2年生:23,514
  • 中学校3年生:10,849
  • 高校1年生 :7,092
  • 高校2年生 :4,397
  • 高校3年生 :2,447
  • 合計:323,762件

平成28年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」

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職場のハラスメント問題

また職場のハラスメント問題も深刻です。

新入社員が、先輩社員や上司の言葉の暴力に耐えられず自殺した事件をきっかけに、働き方改革と叫ばれるようになりましたよね。

いじめやハラスメントを周りで見ている人間たちは、反対したいと思っていても、首謀者の圧力によって恐怖に襲われ、自由に反論できない萎縮した心理状態に陥ります。

また被害を受ける側も同様に、反撃したくても圧力による恐怖で、心理的に硬直してしまい、最悪の場合、自殺といった手段しか取れなくなってしまうのです。

まとめ

同調圧力

同調圧力は、日本社会では特に生まれやすく、いじめやハラスメントといった深刻な社会問題を引き起こしてしまいます。

近年では、いじめ対策や働き方改革のように、日本社会にも意識の変化が生じ始めていることにも注目する必要があるでしょう。

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