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「嫌われる勇気」は、テレビドラマの原作ともなった心理学ベストセラー本です(著者:岸見一郎・古賀史健)

アドラー心理学という、一見とっつきにくい内容がテーマの本ですが、2人の登場人物(哲人と青年)の対話形式で物語が進行し、その中でアドラー心理学のエッセンスが自然と頭に入ってくる内容になっています。

この記事では、「嫌われる勇気」の内容をざっくり知りたい!という方向けに、内容まとめと簡単なあらすじ、さらにネタバレを含む要約を紹介します。

なぜ、トラウマは存在しないのか?

なぜ、子供は叱ってはいけないし、ほめてもいけないのか?

ベストセラーとして現在も売れ続けている名著「嫌われる勇気」の内容について、おおまかにまとめてみますので、参考にしてみてくださいね。


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嫌われる勇気:内容まとめ

嫌われる勇気 内容

「嫌われる勇気」は日本でのアドラー心理学の第一人者である岸見一郎さんと、ライターの古賀史健さんが共著で出している本です。

アドラー心理学の基本的な内容と全体像を紹介するとともに、2人の登場人物(青年と哲人)の対話形式になっているので、小説を読むような感覚で読み進めることができます。

>>この本のネタバレ要約から読む方はこちらから

「嫌われる勇気」と「幸せになる勇気」

また、本書「嫌われる勇気」には続編として「幸せになる勇気」があります。

※それぞれの「勇気」がどのような内容を指すのかは、この記事後半のネタバレ要約部分で説明しています。

岸見一郎さん本人は、「嫌われる勇気」はアドラー心理学の全体像を見渡す地図であり、「幸せになる勇気」は実際に日常生活でアドラー心理学を実践していく際のコンパスの役割を果たすものと説明しています。

これら2冊はアドラー心理学の入門書としての位置づけですが、深遠なアドラー心理学の世界にこれから踏み入っていこうとする人にとっては絶好の手引書となることでしょう。


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嫌われる勇気:文庫本のあらすじ

嫌われる勇気 内容

京都の閑静な街はずれに「人は誰でも、今すぐに幸せになれる」という妙な心理学を教える「哲人」が住んでいる。

そんなうわさをききつけた「青年」は、その主張を論破してやろうと乗り込んでいきます。

彼は職場や父親との人間関係に深い悩みを抱えており、誰もが幸せになれるなどという考え方には、彼自身の人生経験からみても到底、承服できなかったのです。

青年は哲人の書斎をぐるりと見渡した。

壁一面が本棚に覆われ、木製の小さな机の上には書きかけの原稿らしきものと万年筆が置かれている。

哲人の主張は、まっとうな心理学の理屈を根底からくつがえす考え方であり、成年としては到底受け入れることができなかった。

さて、どこから切り崩していくべきか。

青年は大きく息を吸い込んだ。

「嫌われる勇気」本文より意訳して抜粋

しかし、青年がしかけた論戦に、哲人はまるで見たことも聞いたこともないような理屈で答えていきます。

哲人いわく、

 

  • トラウマなどというものは存在しない。
  • 引きこもりになる人は、明確な目的をもって引きこもっている
  • 子供を育てるとき、叱ってはいけないし、ほめてもいけない。

 

などなど、哲人の主張は世の中の常識とはまるで逆をいくものばかり。

青年は、自分がこれまでの人生でぶつかってきたさまざまなテーマをめぐって、哲人につぎつぎと論戦をふっかけていきます。

「嫌われる勇気」作品の中で扱われるテーマ

    • なぜ自分のことが嫌いなのか
    • 劣等感と言い訳
    • 他者との競争をしなくても幸せになれるか
    • 過去に支配されない生き方をするには
    • 他者の課題を切り捨てることの意味
    • 対人関係のゴール地点は何に設定するべきか
    • 自分を「世界の中心」と考えないことの意味
    • 「お前の顔を気にしているのはお前だけ」の理由
    • 人間関係の悩みを断つ鍵:「課題の分離」とは?
    • 「ゴルディオスの結び目」を断つ方法
    • すべての悩みが人間関係の悩みである理由

    • アドラーが提案する、幸せを感じられるようになる方法

>>この本の目次はこちらで確認できます

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嫌われる勇気:ネタバレ要約

嫌われる勇気 内容

嫌われる勇気の内容として、本の中からいくつか印象的な内容を拾って要約してみましょう(ネタバレを含みますので注意してください)

本書の内容のほんの一部ですが、ここでは次のような項目を取り上げます。

「嫌われる勇気」ネタバレ要約

  • ①「嫌われる勇気」とはどんな勇気か
  • ②子供を「叱ってはいけないし、ほめてもいけない」理由
  • ③トラウマなんて存在しない?
  • ④女子学生の赤面症が治った理由

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①「嫌われる勇気」とはどんな勇気か

哲人:すなわち、「自由とは、他者から嫌われることである」と。

青年:な、なんですって!?

哲人:あなたが誰かに嫌われているということ。それはあなたが自由を行使し、自由に生きている証であり、自らの方針に従って生きていることのしるしなのです。

>>「嫌われる勇気」P.162より

本書のタイトルにもなっている「嫌われる勇気」とは、ごく簡単にいうと「自由を感じながら生きていくためには、他者から嫌われることを恐れてはいけない」という意味です。

逆に言うと、あなたが誰かから嫌われているということは、あなたが自由に生きている証拠ということもできます。

よく「自由に生きるために、会社を辞めたい」とか、「めんどうな人間関係に縛られないために、副業で自由を確立しよう」とかいった情報をよく目にすると思います。

しかし、他人との人間関係や組織から逃げ出したとしても、自由を実感することはできませんし、逆に、組織の中にいたとしても自由を感じることはできるのです。

そのためのカギが「嫌われる勇気」すなわち、他人からどう評価されるのかを気にしないこと、自分の承認欲求を否定することが必要だということになります。

「嫌われる勇気」は、本書のタイトルともなっているように、自由を実感しながら生きていくためには必ず必要なものであると筆者は主張します。

②子供を「叱ってはいけないし、ほめてもいけない」理由

哲人:たとえば、わたしがあなたのご意見に対して「よくできました」とほめたとしましょう。この言葉、なんとなく違和感を覚えませんか?

青年:ええ、たしかに不愉快な気分になるでしょうね。その「よくできました」という言葉に含まれる、上から見下すようなニュアンスが不愉快なんですよ。

>>「嫌われる勇気」P.197より

「子供は叱って育てるべきか、あるいは、ほめて伸ばすべきか」は、子供の教育にかかわったことがある人であれば、常に意見が分かれる永遠のテーマですね。

しかし、アドラー心理学に基づく「哲人」の主張では、この点は明確に「叱ってもいけないし、ほめてもいけない」と結論付けています。

その理由として、子供をほめたり叱ったりする教育方法には、常に子供を「自分よりも下の存在」と見て、自分が考える方向に支配しようという考え方が根底にあることを指摘します。

つまり、叱る、褒めるという行為は、「能力がある人が、能力のない人に対してする行為」であることが指摘できるのです。

このことは子供の教育だけに限らず、職場などの上下関係にもあてはめて考えることができるでしょう。

例えば、会社という組織では勤務成績という指標を設け、その良しあしによってお給料や階級が上がったり(褒められる)、職場にいづらくなったり(叱られる)ということが行われています。

アドラー心理学では、このような人を支配しようとするシステムを否定的にとらえているわけですね。

それではどうしたらよいのか?実際には子供を叱りもせず、ほめもせずに、どうやって彼らを教育することができるのか?ですが、アドラー心理学では「勇気づけ」というアプローチをとるべきと説明します。

勇気づけは「相手と平等な、横の関係に基づく援助」であり、例えば子供がお手伝いをしてくれたときには褒めるのではなく感謝の気持ちを伝えるべきだと教えます。

ただし、重要なポイントとして、子供が親の望ましい行動をとるようにするために、意識的に感謝の言葉を子供に伝えるのでは意味がありません(実質的にほめているのと同じだからです)

アドラー心理学は単純にまねをしてもうまくいかない理由はここにあります。

アドラー心理学を実践するためには、この考え方の根底にある「他社を評価するのではなく、平等な存在としてみる」という視点を欠かすことができないのです。

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③トラウマなんて存在しない?

青年:じゃあ、先生はわたしの友人が好き好んで自室に閉じこもっているとでも?自ら閉じこもることを選んだとでも?冗談じゃありません。自分で選んだのではなく、選ばされたのです。いまの自分を、選択せざるをえなかったのです!

哲人:違います。仮にご友人が「自分は両親に虐待を受けたから、社会に適合できないのだ」と考えているのだとすれば、それは彼のなかにそう考えたい「目的」があるのです。

>>「嫌われる勇気」P.30より

「子供のころに親になぐられたのがトラウマで…」という深刻な内容から、「昔犬にかまれたのがトラウマで…」という内容まで、現代社会においてはトラウマという言葉が市民権を得ている感があります。

しかし、アドラー心理学ではこのトラウマというものの存在をそもそも認めません。

トラウマはもともとフロイトやユングといった伝統的な心理学者が提唱した考え方で、「過去に生じたできごとが原因となって、現在適切な行動をとることができない」という状態のことを指します。

こうしたとらえ方は「原因論」という考え方を基礎にしているとみることができます。

つまり、人間がとる行動や能力は、その人が過去に経験してきた体験や、幼少期の家庭教育によって決定されており、基本的に変えることはできないという考え方です。

アドラー心理学では、こうした「原因論」をまっこうから否定し、「目的論」という考え方を基礎とする点に特徴があります。

目的論で考えた場合に、一般的にトラウマと呼ばれる状態はどのように分析できるのか?について説明しておきましょう。

例えば、過去に父親から受けた暴力がトラウマとなり、成人男性とのつきあいができない女性がいたとします。

アドラー心理学で考えた場合、この女性は「成人男性との付き合いをしない」という彼女自身の隠れた目的が先にあり、その目的を達成するための手段として「過去に父親から受けた暴力」という体験を持ち出しているのだと考えます(トラウマの否定)

なぜこのような行動を彼女がとるのか?ですが、人は常に現状維持を好む傾向があることに注目する必要があります。

もし、彼女が男性とのお付き合いをすると決断したとすると、相手から好かれる可能性があるにしても、常に嫌われてしまう可能性もあるでしょう。

一方で、現状維持を選択し、男性とのお付き合いに目を向けないという行動をとり続ければ、少なくとも嫌われることはないのです。

トラウマの存在を認めると、彼女自身が現状維持から脱しようとせず、新しい行動をとらないことについて「自分には過去に父親から暴力を受けたというトラウマがあるから、こういう行動をとるのだ」という正当化もできることになります。

④女子学生の赤面症が治った理由

哲人:もしわたしが赤面症を治してあげたとして、それでも事態がなにひとつ変わらなかったら、あなたはどうしますか?きっと再びここを訪れて「赤面症に戻してください」といってくるでしょう。

>>「嫌われる勇気」P.66より

アドラー心理学の基本となっているのは上のトラウマの部分でも見た「目的論」です。

つまり、人は何らかの原因があってある行動をとるのではなく、ある目的が最初にあり、その目的を達成するための手段として「原因」を持ち出すという理屈です。

このことを説明するために、本書の中で「哲人」は過去に相談を受けた赤面症の女子学生のカウンセリング例を挙げています。

この女子学生には好きな男性がいたのですが、自分は赤面症なのでその相手に告白することができない、と哲人に相談します。

しかし、哲人の分析では、その女子学生は「赤面症だから告白ができない」のではなく、「告白しない理由として、自分が赤面症であることを持ち出している」という考え方になります。

告白を実際にしたら、受け入れられるかもしれないし、嫌われてしまうかもしれません。

しかし、何らかの理由によって告白をするという実際の行動に踏み出さなければ、女子学生は今のままの状態を継続することができます。

女子学生は、無意識に「赤面症」とい状態を作り出すことによって、「実際に告白をしていないがために、相手に嫌われもしないし、好かれもしない現在の状況」を維持することを選択しているのだと考えるわけですね。

このように、「何らかの目的を達成するため(多くの場合には現状を維持するため)に、過去の経験や自分の短所を理由として持ち出す」という考え方のことを、アドラー心理学では目的論と呼んでいます。

フロイトやユングといった心理学者が提唱した「原因論」とは対照的な考え方といえるでしょう。

「嫌われる勇気」のその他の内容

その他、この本には以下のような興味深い内容が含まれていますので、気になる方は購入して実際に読んでみてくださいね。

※「嫌われる勇気」に含まれるその他の内容

  • なぜ自分のことが嫌いなのか
  • 劣等感と言い訳
  • 他者との競争をしなくても幸せになれるか
  • 過去に支配されない生き方をするには
  • 他者の課題を切り捨てることの意味
  • 対人関係のゴール地点は何に設定するべきか
  • 自分を「世界の中心」と考えないことの意味
  • 「お前の顔を気にしているのはお前だけ」の理由
  • 人間関係の悩みを断つ鍵:「課題の分離」とは?
  • 「ゴルディオスの結び目」を断つ方法
  • すべての悩みが人間関係の悩みである理由
  • アドラーが提案する、幸せを感じられるようになる方法

アドラー心理学とはどんなもの?

嫌われる勇気 内容

「アドラー心理学ってどんなもの?…というか、アドラーって誰?」という人のために少しだけ説明します。

心理学に興味のある人であればフロイトやユングといった心理学者はご存知の方が多いでしょう。

心理学の本場ヨーロッパやアメリカでは、アドラーはこのフロイト・ユングと並ぶ知名度を持つ心理学者として認知されています。

アドラーの心理学は「トラウマの否定」・「課題の分離」・「子供は叱ってはいけないし、ほめてもいけない」などの印象的な主張を多く含み、教育現場を中心に積極的に取り入れられています。


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医師・カウンセラーとして活躍したアドラー

生前のアドラーは心理学者というよりも医師やカウンセラーとして活躍した人物で、第一次世界大戦にはオーストリアの従軍医師として参加しています。

オーストリアは第一次世界大戦の敗戦国として、心に悩みを抱えた人を多く生み出しました。

アドラーは、彼らをカウンセリングしていく中で、独自の人間心理についての洞察を深めていくことになります。

こうして生まれたアドラーの心理学に関する理論は、後にアドラー心理学としてフロイトやユングの心理学と双璧をなすようになっていくのです。

まとめ

嫌われる勇気 内容

今回は、岸見一郎さんの著作「嫌われる勇気」の内容について、あらすじや内容について簡単に説明しました。

本書は、難解といわれるアドラー心理学のエッセンスを「哲人」と「青年」のわかりやすい対話形式で紹介する絶好の入門書です。

気になった方はぜひ一度手に取って読んでみてくださいね。

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