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「いのちは贈りもの」は、ナチス・ドイツから迫害を受ながらも生きのびた、ユダヤ系フランス人作家フランシーヌ・クリストフの手記をまとめたノンフィクションです。

サブタイトルにユダヤ人大虐殺の「ホロコーストを生きのびて」とあるように、壮絶な人生が子供目線の語り口でつづられています。

この記事では「いのちは贈りもの」の内容、読書感想文の書き方と例文をご紹介します。


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いのちは贈りもの:内容とあらすじ

「いのちは贈りもの」はナチス・ドイツにより迫害されたフランス人作家、フランシーヌ・クリストフの手記です。

サブタイトルの「ホロコースト」とは、第二次世界大戦中のナチス・ドイツが、組織的に行ったユダヤ人の大量虐殺のことを意味します。

本書はホロコーストを生き延びた著者が、6才から12才までの体験・記憶をつづったものになります。

母娘の迫害される日々と強制収容所の生活

第二次大戦中、ナチス・ドイツが主導していたユダヤ人迫害により多くのユダヤ人が強制収容所に連行されていきました。

著者とその母親はフランスに住んでいたためすぐに逮捕されませんでしたが、生活の上では様々な制限がかけられます。

例えば、周囲と区別出来るように、全ての服に「ユダヤ人」と書かれた黄色い星を縫い付けることを強要されていました。

日を追うごとに迫害がエスカレートしてくると、公共場所に入ることが完全に禁止されてしまいました。

著者が9才の頃、迫害が激しくなり母親とともに逃亡していた途中、ついにドイツ軍にとらえられてしまいます。

しかし母子は、行ったら死を意味すると言われたドイツ東方の収容所移送を免れることができました。

幸いにもドイツ軍の捕虜となっていた父親のおかげで、捕虜家族として特別待遇を受けることができたためです。

著者は、本の中で「それでも私は運が良い」としてこのことを記しています。

とはいえ、フランス各地の強制収容所の生活は想像を絶するものでした。

強制収容所内の衛生状態は日に日に悪化していき、食料も乏しい中、生活環境の過酷さは増していきました。

そのような過酷な生活が続くうちに、著者は10才でものを考えなくなり、ただ生きているだけの状態になっていきます。


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母とはぐれた恐怖とトレビッツでの解放

「人質」を移送中の汽車で、著者は衰弱した母とはぐれてしまいます。

「人質」ですし詰めにされたれ汽車の中、幼い著者は母とはぐれてしまったことに、ただならぬ恐怖を感じてしまいます。

数時間後に母を見つけ出すことが出来ますが、著者はドイツ軍に捕まってから、これほど強烈な不安に襲われたことはなかったと言っています。

その後ドイツのトレビッツで突然解放され、著者たちは死と隣り合わせだった収容所での生活から離れることができました。

ホロコーストを生きのびた真実の物語

解放後、母がチフスに侵されるなど混乱は続きますが、1945年、著者が12才の時に父との奇跡的再会を果たします。

収容施設から生還した後も、強制収容所での記憶が著者を苦しめます。

収容所から解放されたからといって、苦しみから解放されたわけではなかったのです。

そのような過酷な記憶を克服した上、書籍にした著者の信念には胸を打たれます。

この本は、ホロコーストを生きのびた著者による真実の戦争迫害体験の物語です。

私たちが決して忘れてはならない平和の尊さを、魂に訴えかける1冊でしょう。

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いのちは贈りもの:読書感想文の書き方とポイント

この本の中では、ユダヤ人として受けた迫害や収容所での過酷な生活に耐えながらも、父と母へのゆるぎない愛情を著者が持ち続ける心の在り方が感動的です。

この本を題材に読書感想文を書くときには、次のポイントをおさえましょう。

「いのちは贈りもの」の読書感想文を書く時のポイント

  • ①ユダヤ人の印として黄色い星を付けて学校に行く場面
  • ②著者がトレビッツへ移送された時に母とはぐれる場面
  • ③家族3人生きのびて再会以降、著者が周囲との意識の違いに戸惑う場面

以下、順番に解説します。

①ユダヤ人の印として黄色い星を付けて学校に行く場面

自分のルーツを恥じるなという母からの強いメッセージを感じる場面です。

ユダヤ人は、全ての服に黒字で「ユダヤ人」と書かれた黄色い星を縫い付けることを強要されます。

母はその時「あなたは姿勢の良い子だけれど、これからはいつも、もっと姿勢よく胸を張っていなさいね」と著者に言います。

著者は星を付けて登校し、母の言葉通り、姿勢よく胸を張って過ごします。

ユダヤ人でいなくてはならないのなら、私は震えたりせず、微笑みながらユダヤ人でいよう。

と心で誓う場面は、母娘の信頼関係の強さがよくわかる場面です。

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②著者がトレビッツへ移送された時に母とはぐれる場面

母娘の絆の深さが再確認される場面です。

幼い少女だった著者が衰弱している母を探し、精神的な成長を感じさせる場面です。

多くの人々が汽車に詰め込まれている過酷な移送状況の中、著者は母とはぐれてしまいます。

まもなく母と再会することができましたが、この時の恐怖はドイツ軍に捕まってから、これほど強烈な不安に襲われたことはなかったと記しています。

③過酷な環境を生き延びてから、著者が周囲との意識の違いに戸惑う場面

強制収容所での過酷な環境が、著者の精神を変えてしまいました。

トレビッツでの解放後、チフスに侵された母を見舞う日々の中での父との再会。

悲惨な体験をしてきたために、元の生活になじめず苦悩する様子。

迫害前は仲良しだった友達と分かり合えなくなり、互いの意識の違いに対する戸惑い。

周囲の心無い言葉に傷つきつつも、再会した収容所の仲間たち。

仲間たちもまた、収容所での経験のために心に深い傷を負ったまま世を去っていきました。

解放後でも収容所での記憶に苦しめられながら生きる著者の葛藤に、胸が締め付けられる場面です。

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いのちは贈りもの:読書感想文の例文

いのちは贈りものは、ナチス・ドイツに迫害を受けた1933年生まれのユダヤ系フランス人作家、フランシーヌ・クリストフにより1967年に出版されました。6才から解放される12才まで、強制収容所での著者の実体験をまとめたノンフィクションです。

サブタイトル「ホロコースト」とは、ナチス・ドイツがユダヤ人に対して行った大規模な虐殺のことを示します。

ホロコーストによるという過酷な迫害と虐殺の様子を、6才から12才の当時の視点で記した著者の言葉は、シンプルであるがゆえに読み手の心を揺さぶるでしょう。

当時の日記をもとに書かれているからか、強制収容所での様々な事実や出来事がリアルに伝わってきました。

悲しみや恐怖、空腹や赤痢、悪化する皮膚炎、毎日山積みになる死体の山、、、。

しかし、そのような状況でも助け合い、笑顔になれることを探す人々の心の強さには頭が下がります。

また、家族の絆にも胸を打たれました。

著者の父はフランス軍隊に召集され、後にドイツ軍により戦争捕虜となります。

父が捕虜であったため、著者と母は国際条約に守られた「人質」として特別待遇を受けることができました。

そのおかげで、強制収容所でも母娘で一緒に過ごすことができ、生きのびるきっかけを与えられたのです。

それに加えて、捕虜収容所の父から送られてくる手紙や小包も、再び家族と会えることへの希望につながりホロコーストを生きのびることができたのでしょう。

強制収容所に行く前に受けた迫害も忘れてはなりません。

周囲と区別出来るように、黄色い星に「ユダヤ人」と書かれたワッペンを服に縫い付けなければなりませんでした。

そのような状況下でも、著者の母はいつも以上に堂々と胸を張り、前を向いていることを勧めます。

星を付けて初めて学校に登校した日、著者は母の教えを守り、姿勢良く胸を張り、堂々とユダヤ人でいよう、と決意します。

この場面に、自分のルーツを恥じてはならないという母の凛とした愛情を感じました。

そんな著者にとって心の支えともいえる母が、強制収容所で過酷な環境の中での生活により、だんだんと衰弱していってしまいます。

衰弱した母と著者は、トレビッツへ向かう「人質」移送中の汽車の中ではぐれてしまいます。

満員電車のような状況の中、衰弱したはぐれた母のことが気がかりで仕方ない子供は、一体どれだけの絶望を感じてしまうのか、想像もできません。

幼い著者は、強烈な絶望感にかられながら必死に母を探しました。

数時間後、やっとのことで母を見つけ出した著者は、どれだけ安堵したことでしょう。

トレビッツでの解放後も、母がチフスに侵されるなど著者の混乱は続きます。

そのような状況の中父との奇跡の再会を果たす場面は実に感動的です。

あきらめずに根気強く、著者と母親を探し出した父親の絆の深さが胸に刺さります。

父との再会後も、強制収容所での記憶に苦しみながら、著者が懸命に生きる姿には胸を打たれるしかありません。

迫害体験での葛藤を昇華させ、克服し、人々に伝えるべく手記を書籍にまとめるためにはどれだけの精神力が必要なのでしょうか。

そのような著者には頭が上がりません。

この本によって、差別や迫害、戦争が、人間の尊厳を、かけがえのない人生を、傷つけ失わせるのか深く考えさせられました。

またこの本は、ホロコースト生存者が綴った真実の記録であり、決して忘れてはならない魂に訴えかける1冊です。


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