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これから会計に関する分野でキャリアアップしていくことを考えている方にとって、税理士事務所と経理事務の違いは気になるポイントだと思います。

(転職先としてどちらを選ぶかで迷っている人も多いのではないでしょうか)

どちらも同じ会計の仕事ですが、実際の仕事内容や、その後のキャリアの築き方(キャリアパス)には大きな違いがあります。

今回は、会計分野への転職を目指す方向けに、税理士事務所と企業経理の違いについて説明させていただきます。


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税理士事務所の具体的な仕事内容

税理士事務所の仕事内容は、ごく簡単に言うと「お客さんの会社の経理を代わりにやらせてもらうこと」です。

毎月、お客さんから顧問料をいただくという形で税理士事務所は成り立っています。

税理士事務所のお客さんというのは従業員数人~100人ぐらいまでの小さな規模の会社さんですね(個人事業主の方も多いです)

日本国内で事業を行うすべての企業が経理をして1年に1回は決算と納税をしなくてはなりません。

しかし、小さな規模の企業では、自社内で経理の作業をやるノウハウがなかったり、人員がなかったりという事情があるので、経理については税理士事務所にお金を払って任せるということが行われているのです。

以下では税理士事務所はどんな仕事をしているのかについて、より具体的に見ていきましょう。

税理士事務所の従業員数は何人ぐらい?

税理士事務所は企業としての規模は小さく、従業員数は数人~多くても20人ぐらいのところが多いですね。

どちらかというと大企業で安定的に働きたい、という人よりも、将来的には独立して自分の事務所を持ちたい、という形で働いている人が多いです。

税理士事務所の従業員の多くが、税理士試験合格を目指して勉強しています

小さな組織である分、家族的な雰囲気でやっているところが多いといえますね。

私が勤めていた税理士事務所では、忙しい繁忙期には所長税理士のお母さん(70歳ぐらい)がでっかい鍋で夜食を従業員のためにつくってくれる、というようなこともありました。

ただ、中には残業代が出ないようなブラックな税理士事務所も存在していますから、どの税理士事務所に就職するかは慎重に判断する必要があります。

※ブラックな税理士事務所の見分け方についてはこちら(準備中)

税理士事務所の仕事とは?

税理士事務所に入社して、半年間程度の研修期間が完了すると、複数のお客さんの経理や決算の仕事を担当することになります。

未経験者の場合、最初は先輩社員のアシスタントとして仕事を覚え、その後少しずつお客さんの担当を引き継ぐというのが一般的ですね。

上でも少し書かせていただきましたが、税理士事務所のお客さんというのは、主に小規模な法人や個人事業の人たちです。

社長と直接やり取りすることもありますし、お客さんの企業の経理スタッフさんが窓口になっていることもあります。

お客さんの経理や税務の代行って?

繰り返しになりますが、税理士事務所の仕事は、お客さんの企業の経理や税務作業の代行が基本になります。

(その他、財務コンサルティング的なことをやっている税理士事務所も最近では増えてきています)

例えば、お客さんの企業がどこかから商品を仕入れてきたら、その取引を会計的に処理する必要がありますよね。

以前は手書きの伝票などを使っていたこともあるようですが、現在はほとんどすべてのケースで会計ソフト(パソコンの経理専用ソフト)を使って取引を記録します。

こういった作業の代行をしたり、チェックをしたりというのが税理士事務所の仕事というわけです。

毎月お客さんの事業所に訪問し、会計データを作っていく

上で「チェックをする」という書き方をしましたが、実際には取引先に毎月1回出向いて、データや資料を受け取り、その内容に間違いがないか見させてもらうという形が多いです。

税理士事務所側で会計ソフトへの入力作業をすることもあれば、入力作業はお客さん企業の経理スタッフさんが行い、その会計処理が適切かをチェックするという形で仕事をすることもあります。

普通は1か月に1回のペースでお客さんの事業所を訪問し、経理のスタッフさんが入力してくれている1か月分のデータをチェックさせていただいて、その月の分の試算表データを作成します。

これを12か月分やって、取引先の1年間の経理作業が終わったら、そのデータから決算書と税務申告書を作成します。

(その申告書の数字に基づいて、最終的にお客さんに納税をしてもらうことになります)

資格なしでも税理士事務所で働ける?

決算書と税務申告書の作成まで来たら、

最後は税理士(個人事務所の場合は所長税理士)が確認して税務申告書に署名、捺印し、税務申告をして1年間の仕事が完了、ということですね。

なお、税務申告書の作成代行は資格のある税理士でないと法律上はできません。

ただし、最終的に税務申告書にサインをするのが資格のある税理士であれば、そこまでの作業は従業員である税理士事務所職員(資格のない人)がやっても問題ありません。

経理の全体像が理解できるようになる

税理士事務所では、基本的にはひとりで複数のお客さんの経理や税務申告を担当します。

取引先の毎月の経理から決算、税務申告書作成までをひとりで行うので、経理業務の一通りの流れが理解しやすいのが特徴です。

また、複数の取引先を担当するので、色々な業種、事業内容の経理や税務を経験することができます。

そのため、税理士事務所で数年経験を積めば、経理から税務まで一通りの流れが理解できるようになるんです。

このような事情から、税理士事務所の勤務経験者は一般企業の経理として転職していくことも多いです。

税理士事務所の場合、税理士合格後に独立または働き続けるだけでなく、企業経理に転職するという選択肢もあるというわけですね。

中にはお客さんの企業に経理の担当者としてヘッドハンティングされるというケースもあります(このパターンは実はとても多いです)


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企業経理の仕事内容

ここまで税理士事務所の仕事内容について具体的に紹介させていただきました。

ここからは一般企業の経理(経理事務)に就職した場合にどんな仕事をやることになるのか?について解説させていただきますね。

ざっくりというと、経理事務というのは、自分の勤務先企業の経理や税務申告を行うのが仕事です。

 

税理士事務所と経理事務の仕事の違い
  • 税理士事務所の仕事:お客さんの経理のチェック作業がメイン
  • 経理事務の仕事:自分が所属する企業の経理作業を行う

 

勤務先の経理や税務申告を行う

例えば自分の勤務先企業がユニクロだったとしましょう(イメージです)

ユニクロに経理として入社したら、ユニクロが企業として行う活動を会計データとして作成し、1年に1回決算をして納税をする、というのが仕事内容になります。

繊維メーカーなどから100円で商品を仕入れて、お客さんに300円で売ることができたら利益は200円ですよね(売上300円-仕入れ100円=利益200円)

この200円に税率(例えば40%)をかけて、最終的にユニクロは80円を納税するということになります(200円×税率40%=80円)

 

  • 売上:300円
  • 仕入:100円
  • 利益:200円(300円-100円)
  • 納税:80円(200円×40%)

 

こういった一連の流れを適切に行っていくのが経理事務の仕事ということですね。

もちろん、大きな企業になれば売上や仕入れの金額は数百億円ということもありますし、従業員の数は何万人ということもあります。

従業員人には一人一人に対して毎月お給料を振り込まなくてはなりませんよね。

そういった振り込み作業を行うのも経理の仕事です。

経理事務はチームプレイで仕事を行う

税理士事務所は基本的に1人でお客さん企業の経理のチェック作業を行いますが、一般企業の経理はひとりで仕事が完結するということは基本的にありません。

売掛金の入金確認、買掛金の支払、固定資産の管理など、仕事内容ごとに担当者を配置し、担当者は自分の担当業務のみを行うことになります。

取引量が膨大な大手企業の場合は、仕事内容ごとに部署(例:債権管理グループ、固定資産管理グループなど)が設けられているような企業もありますね。

経理事務は分業制なので、一通りの流れが理解しづらいという側面も

ある程度の規模の一般企業の経理として働けば、大きな金額を扱う仕事が経験できるでしょう。

一方で、仕事は分業制(チーム制)なので経理から税務申告までの一通りの流れが理解しづらいという特徴もあります。

ひとつの会社で腰を据えて複数の部署を経験したい、あるいはお客様の経理ではなくて勤務先の経理をしたい方は一般企業の経理のほうがよいでしょう。

ただし、一般企業の経理経験は税理士事務所への転職ではあまり評価されないので、税理士事務所経験者が経理に転職ということはよくありますが、経理の経験者が税理士事務所に転職、というケースはそれほど多くありません。

 

  • 税理士事務所 → 経理事務の転職:比較的よくあるパターン
  • 経理事務 → 税理士事務所の転職:あまりないパターン

 

税理士事務所と経理のどちらがおすすめ?

個人的には(私は税理士事務所勤務と経理事務勤務を両方経験したことがあります)、会計の専門家としてキャリアアップしていくことを考えるのであれば、税理士事務所からキャリアをスタートするのがおすすめです。

税理士事務所では小さな企業(お客さんの企業)の経理の仕事を、全体的に把握することができます。

なので、経理の仕事の一連の流れを理解することができるんです。

決算業務「年に1回」VS「年に30回」

わかりやすい部分でいえば、決算業務についてです(会計分野でキャリアアップしていく場合、決算業務を何回ぐらいやったことがあるか?は転職面接などでとても重要視されます)

経理事務の仕事をしていれば決算業務は年に1回しかできませんが、税理士事務所の仕事では多い人なら年間30回ぐらいは決算業務を経験することになります。

税理士事務所では一人につき20件~30件ぐらいのお客さんを担当することになりますから、当然、年間で20回~30回の決算を担当することになるというわけですね。

また、経理事務だと決算業務まで責任者としてまかせられるようになるのは、早くても入社してから5年間~10年間ぐらいたったベテラン社員ですから、入社当初は単純な入力作業や資料ファイリングの仕事が中心になります。

これが数年間となると、かなりの経験値の違いとなって表れてくることは明らかだと思います。

税理士事務所の経験者は、一般企業の経理よりも会計に関する経験をたくさん積めるといえるでしょう。

 

経験できる決算業務の数の違い

  • 経理事務の決算業務:年間1回
  • 税理士事務所の決算業務:年間20回~30回

 


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まとめ

税理士事務所と一般企業の経理では、同じ会計の仕事でも仕事内容は大きく違います。

税理士を目指している人や、経理から税務まで一通りの業務を経験したいという人は、税理士事務所からキャリアをスタートするのがおすすめです。

特に、決算業務をたくさん積んでいることは、会計分野でキャリアアップをしていく上で一つのステータスになりますよ。

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