税理士業界には「BIG4」という超大手税理士法人グループが存在しています。
※言うまでもないかもしれませんが、具体的には以下の4社です。
- デロイトトーマツ税理士法人
- KPMG税理士法人
- PwC税理士法人
- EY税理士法人
いずれも外資系大手監査法人のグループ企業で、在籍している税理士有資格者の数だけでも100名以上の大規模組織となっています(資格持たない従業員を含めると1000名規模の企業です)
税理士として独立以外のキャリアを描いている方(企業内税理士や勤務税理士としてキャリアアップしていこうと考えている方)の中には、BIG4税理士法人に採用されることを1つのキャリア目標にしているという方も多いかもしれませんね。
BIG4税理士法人への転職では、多くの人が地元の会計事務所にまず入社し、実務経験を3年~5年程度積みながら税理士資格を取得、その後中途採用という形でBIG4税理士法人に転職という形をとっています。
ここでは会計事務所経験者の方がBIG4税理士法人への転職を成功させるためのポイントについて解説させていただきますので、参考にしてみてくださいね。
BIG4に採用されるのはどんな人?
BIG4税理士法人に採用される人は、おおよそ以下のような実務経験や年齢要件を満たしているケースが多いです。
年齢的な条件
年齢的に好まれるのは20代~30代前半までの方ですね。
実務経験が豊富でマネジメント経験もある、という優秀な方であれば40代の年齢でも採用されるケースを見たことがありますが、基本的には若手が好まれると考えておいて間違いありません。
税理士資格(科目合格)の要件や実務経験
上でも少し触れましたが、業界未経験の新卒で採用されるのはレアケースとなります。
学生時代に5科目合格をすでに果たしており、転職活動時に20代前半という人であれば、せまき門にはなるものの採用されるケースはあるでしょう。
20代後半以降の方の場合には基本的に会計事務所での実務経験が必須になります(科目合格でも採用されるケースがあります)
その際、BIG4税理士法人での担当業務は法人クライアントの税務業務になりますから、できれば中堅~準大手の会計事務所での実務経験があることが望ましいです。
英語力は?
英語力についても実務レベルが求められるケースが多いです。
できればTOEICでいえば700点以上、英語力をアピールポイントにするのであれば850点以上は取得しておきたいところですね。
ただし、TOEICの点数というのは必ずしも実務での英語レベルとイコールにはなりません(TOEICの点数は高くても英語でのコミュニケーションは苦手…という人はたくさんいますよね)
その場合、担当する部門委よっては日本語のみでも問題ないケースがありますので、そういった部署をピンポイントで狙うというのも一つの戦略といえるでしょう(その具体的な方法については後述)
学歴は?
BIG4税理士法人というのはいうまでもなく外資系企業なのですが、外資系企業は意外に学歴重視の傾向があるのを知っておく必要があります。
国内の4年制私大以上の学歴であれば問題視されることはありませんが、有名な大学を出ているほど印象が良いというのが実際のところだと思います。
また、MBA出身者も外資系企業の転職活動では有利になる傾向があります。
BIG4の年収はどのぐらいが期待できる?
1つのモデルケースとして、以下のようなBIG4税理士法人への転職成功事例があります。
- 28歳男性
- 3科目合格と大学院修了による税法科目免除
- 転職前の年収560万円 → BIG4転職後の年収650万円
※詳しくはこちら↓
税理士有資格者で年収600万円程度からのスタート、科目合格の人で500万円程度からのスタートというのがBIG4税理士法人の年収相場といえます。
もちろん、コンサル業務や国際税務など、付加価値の高い実務経験をすでにお持ちの方であれば700万円~それ以上の年収でスタートという事例もありますので、転職活動時の交渉次第の部分も大きいです。
転職活動での年収交渉は苦手、という方は転職エージェントに年収交渉の代行をしてもらうのも検討してみるとよいでしょう。
BIG4に採用されるための転職活動の進め方
BIG4税理士法人への転職活動を行う場合、それぞれの企業が自ら行っている採用活動(具体的には企業ホームページのエントリーページからの募集)で採用されるケースももちろんありますが、多くの人は転職エージェントを経由して採用されています。
以下では、なぜ転職エージェント経由であればBIG4税理士法人に採用される可能性が高くなるのかについて具体的に解説させていただきます。
なぜ、転職エージェント経由なら採用されやすいのか?
転職エージェント経由だとBIG4税理士法人に採用されやすい理由としては、エージェントがあなたの適正にあわせて紹介する部署を検討してくれることが挙げられます。
極端に言えば、普通に応募した場合には採用される可能性が低い方であっても、転職エージェント経由であれば応募する部署を工夫することで採用されるケースもあるということですね。
例えば、以下のような採用のケースが考えられます。
①英語力には不安があるけれど、コンサル経験があるという方のケース
例えば、英語力には不安があるものの、コンサルティング業務の経験があるという方であれば、国内でのコンサルティングサービス部門への紹介に力を入れてもらうなどの対応が考えられます。
この場合、英語力については入社時点ではそれほど重要視されない可能性が高いです。
②税務は個人事務所での経験しかないけれど、英語には自信がある方のケース
逆に、税務に関しては個人規模の会計事務所でしか実務経験がないけれど、英語力に自信があって国際税務への関心も強いという方であれば、国際税務を専門に扱っている部門への求人応募をあっせんしてもらうことが考えられるでしょう。
応募部門を柔軟に選べるのが転職エージェントの強み
このように、転職エージェント経由だとBIG4税理士法人に採用されやすいのは、あなたの得意分野に合わせて応募部門を柔軟に選ぶことができることが理由として挙げられます。
転職エージェントは日常的に応募先企業の人事担当者と打ち合わせをしており、どの部門でどのような人材が必要とされているのかの情報を把握しています。
BIG4税理士法人への転職成功確率を少しでも高くするのであれば、転職エージェントへの登録は必須といえるでしょう(ちなみに転職エージェントは無料で使えます。エージェントにお金を払っているのは採用側企業だからです)
BIG4への転職におすすめの転職エージェントは?
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税理士がBIG4以外への転職を希望する場合の進路は?
税理士がBIG4以外で転職先を検討する場合の選択肢としては以下のようなものがあります。
- ①中小規模の会計事務所
- ②国内大手の税理士法人
- ③中堅の税理士法人
- ④特定分野に特化した税理士法人(資産税など)
- ⑤一般企業の経理財務職
- ⑥コンサルティング会社
基本的には①の中小規模の会計事務所(全体の9割の会計事務所が該当します)で実務経験を積んでその後に独立を目指す人が多いですが、勤務税理士としてより高い年収を目指す人は②〜⑥のような選択肢を選ぶ人もいます。
これらの税理士法人では従業員数人程度の中小規模会計事務所では経験できないようなハイレベルな税務の実務経験を積むことができますから、ここでさらに数年間修行して得意分野を作ってから独立を目指すというのも良いでしょう。
⑤の一般企業の経理財務職では管理職候補として入社できる可能性が高いですし、上場企業に採用されれば会計事務所では経験できないスケールの大きい仕事が経験できるというメリットがありますね。
経理管理職を狙うなら、こちらの転職エージェントがこの分野(会計事務所から一般企業管理職への転職支援)の専業ですのでおすすめです↓
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年収が高いのはやはりBIG4
年収で見ると、BIG4の税理士法人でスタート時700万円程度(税理士有資格者で実務経験がある方の場合)、大手や中堅の国内税理士法人で600万円〜というのが相場です。
国際税務などに対応できる人であればもっと高い年収からのスタートになることがありますね。
勤務税理士として働くのを前提で、BIG4以外の転職先を考えている人の場合、ネックとなっているのはおそらく英語ではないでしょうか。
BIG4への転職活動を行う際にはTOEICで700点ぐらいでも採用レベルですので、イメージほど難しいハードルではありません(半年程度スクールに通えば到達できます)
英語が苦手なので外資はちょっと…という方も挑戦してみる価値はあると思いますよ。
【税理士のBIG4転職】学歴はどう評価される?
税理士がBIG4税理士法人への転職活動を行う場合、学歴でマイナス評価を受けてしまうのかどうか?が気になっている人もおられるかもしれません。
具体的に学歴が気になるケースとしては次の3つが考えられます。
- ①高卒者の場合
- ②大卒者だが有名大学出身ではない場合
- ③大学院卒業で税理士試験免除を受けた場合
以下で順番に見ていきましょう。
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①高卒者の場合
高卒から「日商簿記1級取得→税理士資格」というルートで税理士になった人の場合、BIG4税理士法人への転職はきびしいというのが現実です。
アメリカは日本以上に学歴社会であることはまぎれもない事実です。
一般事業会社でも経営幹部になるためにはMBA卒業が必須ですし、まして大学卒業でないということは大きなハンディとならざるを得ません。
高卒者の方がキャリアアップを考える場合は基本的にBIG4よりも国内大手税理士法人を狙うのが賢明と言えます。
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②大卒者だが有名大学出身ではない場合
大卒者ではあるものの、国立大や有名私大の出身者ではないという方の場合はそれほど問題にはならないことが多いです。
私のまわりの税理士(新日本とPwC勤務がそれぞれ複数人います)の場合、関東ではMARCHレベル、関西では産近甲龍レベルの私大出身者でも管理職レベルで働いている人がいます。
大卒と高卒では採用で大きな壁があるものの、大卒者であればどこをでているかはあまり関係なし(実務能力しだい)というのが実際のところだと思います。
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③大学院卒業で税理士試験免除を受けた場合
税理士試験には大学院卒業で免除が受けられるので、この免除制度を利用して税理士5科目を得たという人も少なくないでしょう。
結論から言うと、院卒であっても差別されると言うようなことは少ないでしょう。
私がBIG4にいた時の同僚で院卒は多く見かけましたし、ほとんどの人が中途採用なので、最低限の条件(大卒)さえ満たしていれば実務能力で評価が決まるのが外資の良いところです。
ただし、ダブルマスター(会計科目、税法科目ともに免除を利用した人)に関してはやや微妙な部分があります。みんな税理士ですからダブルマスターの人の雰囲気というか、よほど勉強が苦手なんだなというのはやはりわかってしまいますから…。
基本的にはダブルマスターの人というのは親御さんの事務所を継ぐケースが多いでしょうから、あえてBIG4を目指すという方は少数派だとは思いますが。
税理士が国際税務を経験したい場合、BIG4以外の選択肢は?
国際税務を経験したいと考えいる税理士の方が、BIG4といわれる外資系大手税理士法人以外の選択肢を考える場合には、外資系企業の経理管理職が転職先候補になります。
外資系企業が日本に現地法人を置いているようなケース、あるいは日系企業が海外展開も積極的に行なっているようなケースで、日本法人で採用活動がされているようなところを狙っていくイメージになります。
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税理士が一般企業に入社した後の担当実務
入社後に担当する実務としては日本法人の決算書をIFRSやら米国の会計基準で連結に持っていくというような仕事がメインになりますね(その他もろもろありますが)
国内勤務(日本法人の経理業務)で数年間のトレーニングを経て、国際税務も担当するようになるというケースも多いでしょう。
会計事務所での実務経験はあるけれど、国際税務については未経験…という方もこのフィールドは狙えますから、国際的に活躍するというビジョンを持っている方は積極的に挑戦していく価値はあると思います。
外資系企業の場合、経理財務セクションは年収も高い傾向がありますから、英語に抵抗がない方は国内の会計事務所だけにとどまるのはもったいないかもしれませんよ。
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税理士がBIG4以外の外資を狙う場合の注意点
外資系を狙う場合は、転職エージェントを有効活用するのは必須です。
ハローワークは論外ですが、自力で企業ホームページからエントリーするというのでは差別化がなかなか難しい上に効率的に転職活動を進めることができないためです。
転職エージェントを使う際には、「会計事務所経験→一般企業経理管理職」への転職プランを専門にしている転職エージェントを選ぶようにしましょう。